日本で花咲かずに終った(LIBRIe)ところにKindle登場で立ち上がった電子書籍市場に追随する形で化粧直しを施して出荷されたSONYの電子書籍端末「Reader」。立ち上がりかけたのにiPadの登場ですっかり影が薄くなってしまったアメリカ市場を諦め(登場時は三強扱いだったのに今はその他に包含。SONYは09年のシェアを引き合いに出して成功していると言いたいようだが)、まだiBook Storeが存在しない日本でなら付け入る隙があるのではと再度日本市場に舞い戻ってきたとつい穿った見方をしたくなってしまう私だが、iPadやAndroidタブレットとは違う単機能端末としてどうなのかを書いてみたい。
良い点
その1:軽い。700グラムのiPadと比ぶべくも無いが300グラムを越える「GALAXY Tab」と比べても圧倒的に軽い。サイズも文庫本よりも小さいくらいなのでその中に1,400冊(1冊あたり1Mというのが現実的なのかは知らないが)が収まるのならばありかも。iPadのせいで腱鞘炎になってしまったと言う人もいるようなので電子書籍が欲しいだけならお奨めだ。
その2:日本語の書籍がある。iBookには現状日本語の書籍は存在しない(著作選フリーなら青空文庫があるし、アプリになっている書籍はそれなりにあるが、流石にまだ2万冊はない)ため、人気の電子書籍を購入出来るのは大きなアドバンテージ(シャープなど他社も出てくるが取りあえず)になる。
その3:安い。2万円しかお金を持っていない人にはiPadは買えない(分割で買えるが)がお釣りが来る。単機能なのだから当たり前と言われればそれまでだが。
その4:そこそこ速い。KIndleで使われているe-inkに比べて書き換え速度が改善されているようだ。
その5:光学式。赤外線のタッチセンサーを使っているので赤外線好きにはたまらない魅力。
その6:手書入力。手書きで文字を入力出来る。キーボードの苦手な人にお奨めだ(反応は今一つらしいので、イラチな私には不向きだが)
その7:外部ストレージが使える。メモリスティック(まだ作ってるのか?)、SD、USB装置を繋ぐコネクターが出来る(内蔵メモリが2Gしかないのだから外部メディアが必要なのだろう。読める訳ではなかったりして)。350ではそれさえ出来ないが。
その7:プリインストールの書籍。10冊くらい入っている(私が未読のJobs本も入っている)ようなので、紙物の書籍の合計代金合計が同じくらいなら書籍代だと思えば本体はただである。
悪い点
その1:モノクロ(正しくは16階調のグレースケール)。見た目はNewtonかClieかと思ってしまう今更のモノクロ画面。電子インクのカラーは値段が高いので使えないのだろうが、これでは電子文庫本だ。写真も見えると言うが16階調じゃ...
その2:通信機能が無い。書籍の購入にはPCが必要。海外バージョンでは3Gモデルもあるのにどうしてと聞きたいところだが、恐らく国内のキャリアがどうなるか分からない端末用に3Gサービスを提供してくれないのが理由だろう。Wi-Fiさえないのはそんな事をしたらバッテリーの持ちが悪くなるからなのか、ブックストアがPCのアプリしかないためだろう。
その3:画面が小さい。軽いのは分かるが文庫本サイズでは一度に表示出来る文字数に制限が出てくる。このサイズで楽に文字を読める年代は活字など読まない連中ばかりだと思うのだが。iPadが売れたのは高齢者でも文字が読みやすかったからなのだ。PDFだとサイズ変更が出来ないので元ファイルがA4のPDFなんて老眼世代には読めない(4分割で読めるらしいが途中で切れているものが読み易いとは到底思えない)。
その4:OSX未対応。Appleがいくら憎いからと言ってMacでは電子書籍を入れる事さえ出来ないのでは話にならない。Appleにやり込められたのはミュージックプレイヤー、コンテンツ販売、電子書籍、そしてTV(Google TV)だけじゃないか。イヤフォンの音質は絶対に勝ってるぞ。
その5:スタイラスペン。インターフェイスを見てビックリしたがどう考えても指で操作出来るようなボタンのサイズではない。画面にメモを書き込んだりするためにスタイラスペンがあるように思わせているが、ページめくり以外に指だけでストレス無く行える操作は殆ど無いと見た(まるで、Palmだ...OSは本当にPalmベースなのでは)。ペンが無くなったらどうする?
結論:う〜ん。これでシェアの50%を取るつもりらしいが、単機能の電子書籍という狭い分野に限ってしまっても難しいような気がするのだ。iBook Storeが立ち上がっていたら絶対に出してはいけない端末だな。
3 件のコメント:
(後の方の)良い点7ですが、たしか、
いずれも第一章のみの収録と言う、
なんともケチくさい話だったはず。
ソース探してみます。
貴重な情報を頂きありがとうございます。
プリインストールなんて随分サービスが良いなと思ったのですが、一章だけだとしたら噴飯ものですね。続きが読みたくなって残りを買う人がどれだけいる事やら。LIBRIeの時には夢物語をコメントしている人達がいましたが、今回は流石にそんなバカはソニーの社内にしか居ないのではないでしょうか。
マイコミジャーナルに該当の記事がありました。確かに一章だけ無料で読めると書いてあります。程度の低い詐欺ですね。
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