ここ十年くらい大前研一の考えと私の考えの乖離は広くなるばかりなのだが、週刊ポストの1月7日号の記事(買った訳ではなくlivedoorニュースを閲覧)を見たら、AppleはMacと同じ過ちをスマートフォンで犯し、Androidに負けると書かれていた。
ハードを持っていた為に失敗したMac(今のMacの成功をどう考えているかは知らないが、恐らくシェアを取る事が勝ちだと勘違いしているようだ)と同じように、iOSをライセンスしなければ生き残れないと言う20世紀の論理から一歩も出ていない大前研一。ハードを持たないMicrosoftがその影響力を恐ろしい速度で失っている現実が全く見えていないし、Androidが「Nexus S」を再び作らなければならなかった理由(メーカに好きなようにさせていたらAndroidその物が空中分解してしまう事に対する恐怖心)も分からないようだ。
曰く「OSとハードを販売し、さらにコンテンツのダウンロードでも儲けるという偏狭な垂直統合モデルに固執するのか理解に苦しむ」、「いま中国では、iPhoneの海賊版(見た目がiPhoneなだけで、iOSが動くわけでもアプリが購入出来るわけでもない模造品)がたくさん売られている」と言う事らしいが、iPhoneやiPadが売れているのは見かけではなくiTunesやApp Storeで好きなコンテンツを他のどのサービスよりも簡単に手に入れられるからである。それが可能になっているのは大前研一が否定する垂直統合(それもワールドワイドで)のエコシステムが存在するからだ。
コンテンツからの利益は副産物にすぎず(利益を考えていなかったのにその販売量が膨大な為バカにならない収益が結果として生まれただけだ)完全にパッケージ化してマニュアルも無しに使えるデバイスを言い値で買ってもらうのが現在のAppleのビジネスモデル。Microsoftにはそれが出来なかったから現在の体たらくがあり、Androidの最大の問題は現実を無視した理想主義が渾沌を生み出している事にあるのだ。
結論:余計な事を言わなければ晩節を穢さずに済んだのに...物理的な老いは仕方がない事だが、精神的に歳を取ったらお仕舞いなのだ。
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