火曜日, 1月 22, 2013

BCNランキングの顛末

BCNランキングでiPadがNexus 7に負けたと言うデータを元に各社が遂にタブレットもAndroidの天下が始まったと見出しを打った。その前には当初発注予定だった6,500万台のディスプレイの発注が半分になったと明らかにAppleに対するネガキャンが展開されているのだが、本当に売れていないかどうかは23日に発表されるAppleの決算報告を見れば良い訳でどうもその前しかこの話題を持ち出す時が無かったのではと思うのだ。

実際の情報の出元がどこかは分らないが、iPad用の9.7インチの製造が全てストップしたシャープ辺りが自社の窮状を吐露したものに尾ひれが付いたのではないかと伺われる今日この頃。Appleがシャープからの供給を絞ってきたのは、元はと言えばIGZOをAppleが必要とする数量製造出来なかったことに起因する(他のディスプレイメーカーは特に減っていないらしい)のだが、最大の取引先からの注文が途絶えれば青息吐息のシャープにとってはそれこそ死活問題なのは間違いないのである。

そんなところで立て続けに出てきたBCNの調査結果。BCNの調査結果がどれだけ実態を表しているのかも考えずに各社が記事に取り上げたものだから、あちこちから反論の狼煙が上がり多いに盛り上がったのは間違いない。と言う訳でBCNの数字が何を表しているのかを説明してみたい。

BCNの調査結果の問題点
その1:国内の16%しか捉えていない。Apple製品国内小売販売実績で最大手のヤマダ、ヨドバシはカウントされていないし、SoftBankやKDDI、Apple Storeも含まれていない。Appleの小売店の入荷量調整は販売実績で決まるのでそもそもiPadの割当が少なかったので、それを比較対象にするのがそもそもの間違い。
その2:入荷数を考えずにレジの結果だけを集めてNexus 7の方が売れているとするのは構わないが(事実調査店舗ではそうなのだ)、それが統制された条件下にあるサンプルから得られた統計的に有意な現象と結論づけた事は統計学の初歩も理解していないアホばかりだった。
その3:昔からBCNのデータはおかしいと評判だった(Walkman vs iPodで私も叩いた)のに、マスメディア(カスゴミの事)はそれを鵜呑みにして鬼の首でも取ったつもりで無批判に記事として掲載した。
その4:私のような生まれつきのマカー達が批判の火の手を上げても無視するのは構わないが、別に信者でもないITジャーナリストが事実を問うてもそれに対して一切の反論がない。過ちを認めるなり論証して反論するのが記事を掲載したものの責任だと思うのだが、そんな気は更々ないらしい。

結論:今回の騒動でBCNのデータは価値がないと分ってしまった。まさかこんな事になるとは思いもしなかったBCNは慌てふためいている事だろう。統計のイロハも分らないところのランキングを鵜呑みにするマスメディアも統計学を全く知らないバカばかりのようだ。文系だって統計の考え方くらい勉強しろよ。

日曜日, 1月 20, 2013

スマホOSの乱立


iOSとAndroidの戦いばかりで面白みにかけていたスマホ界に雨後の筍の様に新たな名乗りを上げたOSの数々。なんで、タブレットをWindows Phone 8にしなかったんだと思っていたら、Windows Phone 8の拡張に思えるRTが早々と見捨てられそうな雲行きで結果的にはPC版の拡張を作っておいて良かったね状態のMicrosoft。今回は有象無象のスマホ用OSの感想を書いてみたいのだ。

iOS:私がiOSを貶すことはないと思っている方もいるだろうが、iOS6は失敗作のマップを載せたことによってイメージを悪くしたのは間違いない。法人向けのサービスは整ってきたため、その部分は大いに評価できるが…OS全体のシェアに関わらずハードウェアメーカー系ではないSIerを含めたベンダーがターゲットにするのはiPhoneではなくiPadなのは間違いなく、今年は様々なところからiOS端末をクライアントに据えて設計されたシステムが登場してくるだろう。★★★★
Android:取り敢えず電話が掛けられるから売れたスマホでの成功はタブレットには通用しないことが明らかになった2012年。商売にならなければ手を引くのはビジネスの鉄則で、端末の価格の安さだけが評価対象の企業以外には販路がない状態になっている。アメリカでの実績をベースにiOSに的を絞った三菱UFJカードに遅れる事8ヶ月。三井住友カード(NTTデータ)も春にはAndroidシフトだったのにiOSへと大きく舵を切ってきたが、セキュリティの穴の防ぎ様がないAndroidは決済ビジネスには使えないと漸く気付いたのだろう。要はアプリが作りやすいだけでは話にならなかったのだ。★★★
Windows Phone:クソだった7から日本語も使えるようになった7.5になったのに殆どのメーカーが乗ってこなかった2012年。過去には最大手であったNokiaが自社のOSを捨ててまで採用を決めた8も今のところ大成功とは言えないだろう。メインのPCを生かす形でタブレットを伸ばしたいMicrosoftの出した答えはスマホとタブレットは別ジャンルの方程式。乗り換え時に離れるであろうAndroidユーザを取り込めるのかがWindows Phone成長の鍵になるだろう。★★
Windows RT:ARM系チップ専用の力不足なOS(アプリは皆無に等しい)。中途半端にPCに色気を見せたために中途半端な存在になってしまった。UIなどはキメラ(Pro 8)よりも悪くないと思うのだが、Microsoftの本気度が低いのだから仕方がないだろう。Windows MeやVistaのように間も無くなかったことになるのだろうか。既にSamsungなどは見捨てました。★
Windows 8 Pro:本来はPC用のOSなのでここに入るべきではないが、Microsoftが土俵にしてしまったのだから仕方が無い。デスクトップ用とタブレット用が混在するというあり得ないOS。既存のWindowsユーザは同じアプリが動くので喜ぶのかもしれないが、それが動作するのはPCモードの時。タブレットらしく使おうと思ったらRTモードで動作するアプリを購入しなければならないと言う信じられない代物。その上RTモード用のアプリなんて現状は殆どないのだからRTモードは何に使うのかが全く見えてこない。と言う訳でスタイラスペンとキーボードを標準装備にしなければまともには使えないだろう。★★
webOS:HPに買い取られた辺りで怪しくなっていたのにやめるのやめないののドタバタで本当に無きものに。UIなどはすごく格好良かったのだが、負け組となってしまえばサードベンダーに見放されるのは当然のこと。そして見捨てたはずのHPが密かにまた開発者を雇い入れているとの噂も。やるなら腰を据えてもらわないと…Androidなんかよりは筋が良かったのに。★
Tizen:Samsungが製造するドコモ用の端末で使われることになったOS。ベースはLinuxだが、MeeGoやMaemoなどのMoblinなどのOSの中から必要なモジュールをかき集めて作った寄せ集めOS。その上、ドコモではアプリをHTML5で作るらしいのだが、機種依存が少ないからWebアプリ開発にむくHTML5+JavaScriptで自社囲い込みのサービスを作るのだそうだ。フランケンシュタインのように化け物扱いされないことを祈るばかり。ものが出る前にポシャる可能性だって高いのだ。★
Ubuntu Phone OS:他のスマホ用OSとは一線を画するモバイルで動くPCと言った存在。専用のデバイスが出るかどうかには関わらずAndroid端末などでギークな方々が使うのだろうな。これはスマホ用OSではなくポケットに入るUbuntuなのだ。メインストリームにはなる訳がないが消える事もないだろう。★
Firefox OS:こちらはMozillaが開発中の特定プラットフォーム上ではなく「オープンウェッブ」技術を使ってHTML5+JavaScript+CSSで作られたアプリケーションをサポートするためのOS。Androidの勢いに押されてすっかり存在感のなくなってしまったGoogleのChrome OSが、これに近い存在だったのかもしれない。こちらは由緒正しいオープンソースと言えるのでその世界の方々が使うのではないだろうか。★★
Sailfish:MeeGoの生まれ変わりなのか浮遊霊なのかは知らないがNokiaでMeeGoの開発していたチームメンバーが立上げたJollaが名乗りを上げた。どう考えてもメジャーを目指すのは無理と判断したのか香港のキャリアとがっちり手を組んでドメスティックなエコシステムの核にしようとしているようだ。AndroidのガラスマよりはスマートOSを載せたフューチャーフォンを狙っているのかも知れない。★

結論:Microsoftが戦略を定めきれずにいるためメジャープレイヤーはiOSとAndroidだけの状態は続きそうな気配。第三世界向けの廉価版で数を稼いでいるAndroidはセキュリティを重視する法人向けでは相手にされることはなさそうだ。2012年に表面化してきたアプリベンダーのAndroid離れは更に加速されるだろう。

金曜日, 1月 11, 2013

Open戦略で勝つには

最近はスマートデバイス絡みばかりでPC(PCはもうスマートデバイスとは言えない)に関する事を殆ど書かなくなってしまっていたので今回はその当たりも少し書いてみたい。2005年段階でDellのようなビジネスモデルはどこにでも真似出来るので、いつまで続くかの話に過ぎないとblogに書いた頃はあちこちのサイトで「マカーの戯言」扱いされたが、私の予想の通りその当時よりも明らかに業績を伸ばしたのは21世紀型のAppleだけであった。PC以外のデバイスを出す度に壊滅状態に陥ったDellはとっくの昔にトップ企業ではなくなった。日経などの提灯記事ではDellやWal-Martを散々持ち上げていたが彼らが何も分かっていなかったのは結果を見れば明らかだろう。

Open戦略に乗ればそこに待ち受けているのは血みどろの戦い。トップとその他大勢になるのは最初から分っていることなのだが、Open戦略に乗っかる企業は自分たちがそのトップになれると勘違いしているのだから酷い目に遭うのは自業自得と言うしかないだろう。そんな悲惨な現実を目の当たりにしていたのに懲りずにAndroidに手を上げたのが日本のメーカー。それまではガラパゴスの中でぬくぬくと生きてきたため(キャリアとの共存共栄)にiPhoneがどれだけの脅威なのかが理解出来なかったのと、自社の囲い込みの中で作り上げられていた課金ビジネスを否定する端末を受け入れられなかったからだけではなく、そんなことをすればOSがライセンスされることのないAppleの端末によって子飼のメーカーが壊滅してしまうからであった。

そこで食付いたのがAndroid。SoftBankのiPhone販売で窮地に追いやられたガラケーでは勝負にならないと判断し各社が相次いで参入したが、海外勢に対して周回遅れだった状態から抜け出すことも出来ず(AndroidなのにiPhoneと同じ土俵にさえ上がれない)に合従連衡で行き残りを掛ける事になったのだ。Open戦略に乗ったために先を行っているAndroidの海外勢に水をあけられる形となり、更には同じOSを使う国内の他社との差別化のために余計なハードウェアを載せ出来損ない(不良在庫)の山を築くことになってしまった。

結論:Open戦略で勝とうと思ったらドメスティックなサービスを前提に物づくりをしてはいけない。ハードウェアコストを極限まで切り詰めなければ商売にはならないのである。それをカバーするにはソフトウェアで対処する必要があるがハードウェアメーカーにはそんな考え方がない。Open戦略は絶対に乗ってはいけないものなのだ。

木曜日, 1月 10, 2013

ソーシャルテレビ?

スマートテレビがWebブラウズテレビでしかなかったので今度はソーシャルテレビ。ネーミングはどうでも構わないのだが、ソーシャル機能も必要だがそこで利益を上げるために広告を持ち込むようでは考え方が20世紀から一歩も進化していないと言えるだろう。ジャパネットたかたも苦戦していると言われているが私の大好きな三木谷さん(ご本人と話したことはないので本当はどういう人かは知らない)のところやAmazonが上手く行っているのは家電量販店の合従連衡を見ていれば明らかだ(それさえいつまで続くかは分らないが)。

そんな中で新しいテレビを出すのならば簡単にテレビの中だけで物が買えてしまうものを出せばよいのにと思うのだ。一つのIDを持つだけでどのショップを使おうが全ての決済が終了してテレビを点ければ配送情報が表示される。勿論同じ機能を持ったアプリがインストールされているスマートメディアならばテレビの前に坐っていなくても同じ情報が手に入る。それに一番近いところに

現在それに一番近い位置にいるのは一つのIDでコンテンツからハードウェア迄購入可能なAppleやAmazon。テレビ(ハードウェア)が決済を可能にする(クレジットカードリーダーやおサイフ機能なんか付けるのは愚の骨頂)のではなくテレビで利用出来るサービスがそれを受け持つものが出れば、テレビは今までとは違ったものになっていくのだ。当然、その時には放送局なんていらないのだが。

そんなテレビが出るとしたら当然有線だけではなく携帯網を使うと言う手も出てくる。ここのところ逆風続きのdocomoもケータイで野菜やCDなんか売っていないでもっと大きな市場を取り込む位の構想をして貰いたいものだ。。携帯やタブレットにこだわっているからiPhoneにやられっぱなしだが、テレビを手中に収める事が出来ればチマチマとspモードなどで小銭を稼ぐ必要はなくなるのである。

結論:SIM入りのテレビを無料で配って物販の上がりの上澄みでコンテンツを無料で配布する。それ位の発想がこれからは重要なのだ。

木曜日, 1月 03, 2013

Androidもダメだけど


てっきりAndroidと心中する気満々なのかと思っていたドコモがSamsungのTaizenと無理心中を決めたらしい。HTML5でアプリを作ると言うがHTML5が意味を持つのはOSに依存しないWebベースのアプリを作れるところであってOS独自の開発環境がお粗末なのを糊塗するためではないはずだ。もしかしたら独自のネイティブアプリを作れる素晴らしい開発環境があるのかも知れないが(恐らくそんなものはない)、HTML5をドコモ独自の生態系に閉じ込めるために使おうというのならば呆れてものも言えないのだ。

Androidアプリを作るくらいならHTML5でWebアプリを作った方がましだと何度も書いてきているので、何故HTML5のアプリじゃいけないのだと言われそうだが、商売として割りに合わないAndroidのネイティブアプリを作るくらいならiOSもカバーできるHTML5にしろという話で、ドコモ独自の囲い込みサービスを生き永らえさせるために使われるようなものではないのだ。そんなものに力を入れる位ならフューチャーフォンでもOKなFlashアプリでも続けた方が良いのにと…

結論:日本の家電メーカーがダメになってしまったのは、パソコンメーカーがダメになったのと同じように独自のOSを放棄したから。Androidで囲い込みが難しいからと別なOSに手を出す位なら独自のOSを一から開発したら良いのでは?AndroidもダメだけどTaizenはもっとダメだと思うのである。

火曜日, 1月 01, 2013

謹賀新年


明けましておめでとうございます。

最近はすっかり更新のペースが遅くなり申し訳ございません。
本年も宜しくお願い致します。