金曜日, 3月 28, 2008

こだわりを持つと言うこと

 今では、”こだわりを持つ”と言うことは肯定的な意味合いで使われることの方が多いようだが、本来はちょっとしたことを必要以上に気にするなど、余り良い言葉では無い。SONYなどは商品作りにこだわりを持っているなどと書かれる時には通常は良い意味で使われているのだが、実際のSONYなどを見れば確かにこだわり(正しくは拘泥と書く)を持って物づくりをしていると考えられる。それは物づくりに明らかに現われている。自社で開発してしまった技術を無理やりにでも使おうとしているのが見え見えで、将来にわたって消費者が必要とするかを考慮せずに技術オリジンの製品を作り出している。

 それは商品を見て見れば分かることだが、例えばBlu-rayは持っていても顧客にとって便利にも幸せにもなるものではない。世の中には無くても死なない物が多く溢れているので、そこに文句を言う気は全く無いがBlu-rayが世の中に便利を提供しないことは明らかだ。そして、箱物(ハードウェア)はそれ自体が進化する(ファームウェアを書換えてもBlu-rayがSTBになることなどないのだ)ことは無い。ところがAppleTVなどは、全く同じハードウェアのソフトがアップデートされた(ソフトウェアで新しいサービスに対応)ことによって全く違うデバイスに変わってしまった。

 こだわりを持つ先が自分では無く顧客側に立つならば多いにこだわりを持ってもらえば良いのだが、大抵の企業は顧客満足にこだわって商品やサービスを提供などしていないのである。勿論そんな企業に一番大事なのは何かと問えば顧客満足であると答えるに決まっている。しかし、そう言った企業が想定している顧客は、間違いなく自分に都合の良い顧客なのだ。

結論:SONYもAppleも任天堂も自社の製品にこだわりを持っている。こだわっている先が”技術者の喜び”(自己満足とも言う)か”顧客の喜び”かの違いがあるが、その違いが大きな差を作り出しているのである。顧客は持って幸せにならないものに金など使わないのだ。

木曜日, 3月 27, 2008

iPhone縛り

 世の中に"iPhone縛り"などと言う言葉はまだ存在しないが、6月以降(WWDC2008)には、誰もが認識する言葉になると踏んでいる。今年のWWDCの一番の目玉は、正式リリースされるiPhone SDKになるだろうが、SDKで開発したものをiPhoneやiPod touchに入れてもらうためには、iTunes App.storeに登録しなければいけないと言うきつい縛りが用意されている。

 個人ベースでプログラミングをしている人や大きな販売チャネルをもたないソフトウェア会社にとってApp.storeは、まさに天国のようなシステムなのだが、Officeなどといいう銭の種を持っている企業にとっては3割も上前をはねられるというのは死活問題に違いない。少ないシェアだからと問題にしていなかったAppleのシェア回復速度は日増しに速くなっている。その上に、iPhoneやiPod touchのシェアを加味すると共通プラットフォームとしてのOSXは非常に大きな市場を形成することになる。勿論Microsoftは、それを指をくわえて見過ごすような会社では無いのだが、もしもiPhone用のOfficeなどを商品にしようとしたら、それはダイレクトにAppleの懐を潤すことになってしまうというジレンマに陥ってしまうのだ。

 OSの95%を押えているソフトウェア会社が、たった1社に首根っこを押えられることになるなど誰が予想しただろう。前に大前研一氏を薄らバカ呼ばわりしたのだが、大前研一氏を持ってしてもAppleの戦略(Jobsの戦略だ)を読み取ることは出来ないくらいに壮大(奇想天外)だったのであって、それは大前氏の能力が低いと言うよりもAppleの戦略が高度過ぎたに過ぎないと言うことなのだ。

Appleの戦略
iTunes:一般的にはCDのリッピングソフトと考えられているが、Macを含めたハードウェアのゲートウェイ(メディア・ハブ)。Microsoftさえ、その存在を過小評価していた。iTunesアップデートで、Safariがインストールされることで明らかにされたようにWindows版のiTunesは、Appleの”トロイの木馬”だったのだ。
iTunes Store:一般的には、音楽ダウロード販売サイトと考えられているが、音楽、動画、ゲーム、ソフトウェアを一元的に管理販売する新たなコンテンツ・メディアである。日本では未だに著作権問題で、YouTubeやニコ動などが問題になっているが、iTunes Storeは、CDやDVDといったハード・メディアを世の中から駆逐し独占するメディアになろうとしている。そして、その第一段がiPhone SDKとApp.storeになるのだ。
iPhone:一般的にはiPod機能付きのスマートフォンと考えられているが、iPhoneで重要な部分は携帯電話ではなく、iPod touchと共通のネットワーク機能の部分に隠されている。数多の他のスマートフォン(高機能携帯も含めて)と言われるものには出来なくてiPhoneに出来ることは、AppleTVと同様に進化すると言うことだ。お仕着せでバカみたいに多くの機能を組み込んで販売しなければ差別化出来ない他社の携帯と違いiPhone(当然touchも)は、携帯ネットワーク端末と捉えるべきで携帯電話としての機能は、"Some of them"なのである。

結論:iTunes Storeをコンテンツ販売のサイト、iPodをメディアプレイヤー、iPhoneを携帯電話と捉えている限りAppleのやろうとしていることは絶対に理解出来ないのである。

水曜日, 3月 19, 2008

売れてます

 アメリカでのPCの売上シェアでAppleが14%を占めた(金額で25%)というお話。前年対比で64%の成長(去年は一昨年に対して67%アップ)。この2年で約2.7倍の成長と言うことになる(それまでが如何に低かったかと言う話なのだが)。ゲーム理論からすれば、Macが15%のシェアを越えると一気に行っちゃうと言うのがあるが、さてそれはこれからのお楽しみ。

結論:2月単月だけど、景気の悪いアメリカで売上を伸ばしていると言うのは、やっぱり凄いのじゃないだろうか。ネット販売の分は入っていないのかも知れないがそれにしても上出来なのだ。

火曜日, 3月 11, 2008

OSの評価

 MacDailynews(Macと付くんだからMacに不利な訳は無い?)というWebサイトでOSを要素別に得点し、どれが一番かというものを掲載していた。因みに満点は5点である。

項目別
価格:フリーのUbuntuには勝てないがLeopardは、4.5
インストールのしやすさ:Leopardは当然の5
Interfaceの使い易さ:こちらも納得の5
バンドルソフト:Leopardは4.5。誤解されているかも知れないが裸のWindowsには殆どバンドルソフトは無い。PCにバンドルソフトが多いのはPCメーカーが付けているのだ。
サードパーティのソフトウェア(質では無く数):XPが堂々の一位で5。Leopardは3.5
ザードパーティのドライバ(質では無く数):XPが4.5で、LeopardはVistaと同じ3.5
ネットワーク機能:XPが4.5でトップ。LeopardはVistaと同じ4
セキュリティ:LeopardはUbuntuと同じ4でトップ。XPはどん尻

総合点
1位:Mac(33.5)
2位:XP(28.5)
3位:Vista(28)
4位:Ubuntu(27)

結論:マッカーには納得の結果であるが、OSの動作速度やデカサなどを加えれば、VistaはUbuntuに逆転されたかも知れない。完全では無いがMac上でネイティブ状態での速度比較は可能。そこまでやるとVistaを買った人に酷過ぎるか。

月曜日, 3月 10, 2008

Appleの至宝

 ソフトウェア開発力によって企業存続の瀬戸際から蘇ったApple。資金に余裕のないなかNeXTを買うのは無謀だと考える人達もいたのだろうが、たった4億ドルでAppleが再生したのだから至宝を手にした事に間違いは無い。

 Open STEPのMac化と並行して両システムの融合も行われたのだが、NeXT吸収後、僅かな期間でそれをやり遂げる事が出来たのは、Cocoaと呼ばれる開発環境が優れたオブジェクト指向のフレームワークによって設計されていたからなのである(PowerPCだけでは無くIntelの石まで同時にサポート)。

 こんな離れ業が出来たのも、C++のような付け足し型のObject指向では無いObjective-CでOpen STEPが...(C++の人を敵に廻したか?)

 Objective-CやInterfacebuilder、Projectbuilder(Xcode)、Web Objectという開発体系がなければこんなにスムーズに新しいシステムを作り上げる事は不可能だっただろう。Open STEPがOpenと呼ばれた由縁は、CPUに依存しないところにあるのだが、それがMacだけでなくiPodやAppleTVとデバイスを選ばないOSX統一環境を構築する上で威力を発揮した訳である。

 エレガントで尚且つ柔軟性の高いObjective-C。時代遅れと考えている連中もいたかも知れないが、設計思想が優れていた事は古臭くならない事で実証されているのである。

結論:現在のAppleは、NeXTという至宝を得た事によって成り立っている。あの時にもしもMicrosoftと組んでいたらとんでもない事になっていただろう。首の太い親父(Amerio)は、間違いなくApple再興の父なのである。

木曜日, 3月 06, 2008

iPhoneとFlash

 iPhoneにFlashを搭載しない事をAdobeの社長が怒っていたが、4日の株主総会でJobsがそれに対する明確な解答を寄せた。

 一言で言えば「PC用FlashはiPhoneで使うには重過ぎ、Mobile用FlashはWeb利用には非力過ぎる」ということなのだが、AdobeがiPhoneに最適なその中間となるものを出していないので載せようがないのだということである。iPhoneにもっと強力なチップを使えば消費電力が大きくなり実用にならなくなる。3Gでさえ電池の持ちの問題から後回しにしたAppleからすれば当然の対応なのだろう。

 Flashという技術はコンテンツ製作者にはありがたいものなのだが、メモリと速度の限られる資源で使うにはバカみたいな技術なのだろう。

結論:iPhoneにFlashが標準で載る時とは、既にiPhoneが小さいMacになっている時なのかも知れない(勘違いして欲しくないのだが、iPhoneはOSXで動いているがMac OSXではないのである)。

ディズニー携帯からわかること

 ディズニー携帯が発売開始されたが、携帯のデザインから紙袋までディズニーの世界観を出しているようである。これってどこかの会社がやっていることと全く同じじゃないの。もちろんどこかって言うのはAppleの事なんだけど。

 iPhoneはパッケージから手提げ袋までApple色一色。ブランドを売ると言うのはこういう事なのかと言う見本である(もちろん世界的な有名ブランドは全て高しているが)。例えば、もしもLouis Vuittonが携帯を売るのだとしたら、キャリアが何処であれ、その直営ショップや町の携帯屋で売っては行けないという答えが導き出される。

 何故なら、町の携帯屋で扱ったのでは差別化(高価格で納得させる意味)を図る事が出来なくなり、同時にステイタス性を失ってしまうことになる。だからこそ、有名ブランドは販売チャネルを制限して希少性を維持している訳だ。

結論:iPhoneは、Appleストアだけで売り、ディズニー携帯はディズニーショップだけで売るのが一番正しいのだ。もちろんそれが出来るのはステータス・ブランドだけなのだが...

水曜日, 3月 05, 2008

まぐれ当たり

 池田信夫と言う人が、現在のAppleの成功は”まぐれ当たり”だとblogに書かれてる。Jobsは、成功よりも失敗の方が多く、個人的にはとてもいやな奴で細かい事にまで口出しする最悪の経営者だということだ(確かに嫌な奴かも知れないが、皆のあこがれでは有るだろう)。iPod以外に実績は無く(iMacはJobs以前に計画されていたとは言われるし、Cubeは明らかに失敗だったが)、創業会社を追い出され、NeXTは失敗した(Appleに高値で売れたので強ち失敗では無いだろう。Jobsがいなければ買い叩かれた筈だ)のが何よりの証拠だと言うのだ。

 人間的に素晴らしいなどとは私も考えてはいないが、経営者としてどうかと聞かれれば特異ではあるが傑物だと思う。勿論、Jobs無き後、Appleが今のままの調子で伸びていく事が出来なければ、それをJobsのせいにする事は出来るだろう(自分にしかできない路線を引いてしまった責任だ)が、そこまで言われてもである。

結論:今の成功は確かにまぐれなのかもしれない。しかし、Jobsが世の中に上手く合わせたのでは無く、世の中がうまくJobsにあっていたのは間違いない。運を呼び込むのも経営者の大切な能力なのである。