木曜日, 12月 30, 2004

iPodがiMacになる日

2006年1月。MacEXPOのキーノートスピーチ。Jobsの手にした新しいiPodが、少しだけ大きいことに気付いた人達は多くは無かった。
噂では、ビデオが再生出来るiPodがついに発表されると言われていた。Appleが、1インチの160ギガのHDDを大量に購入したことがその根拠であった。恐らく、あれがそうかと思った人達は次の瞬間に自分の目を疑った。
充電用の少し大きなドックにiPodを挿すと、Jobsはワイヤレスキーボードとマウスを取り出しキーボードのキーを叩いた。するとその瞬間に、ディスプレイにはログインのダイアログが表示された。ログイン開始と同時に、DVDクラスの動画が表示され、iPodのスクリーンには林檎マークが表示された。iPodがiMacになった瞬間である。
ウォーという歓声と拍手、同時に人々は席を立つ。しかし、サプライズはそれだけではなかった。Jobsは、キーボードのイジェクトボタンを押すとMacOSXが起動しているはずのiPodをドックから引き抜いて携帯電話として使い始めたのである。スクロール・ボタンが隠れる大きさのモジュールをドックコネクターに挿しキーを打ち始めた。呼び出し音が会場に響き渡る。
「ゲイツ君。今、新しいiMacを発表しているんだが、みんな喜んでくれているよ。君も、そろそろ真剣にハードを作ることを考えたらどうだい」
会場の歓声が、一段と大きく響き渡った。
1年前、MotorolaがiPod機能を持った携帯電話を出した時にこのようなことが起きると気づいていた人がどれだけ居たであろう。デュアルOSが同時に動くMPUの登場、Motorolaとの技術提携、1インチHDDの大容量化、Graphic機能のMPUからの完全分離、これらの要素を考えると、あながちありえない話ではない夢物語である。

世界中で、それを一番始めに可能にする企業はAppleかも知れない。

SONYがiPodを創れない訳その後

ケツに火が点いていることを、さすがのSONYもようやく理解したらしく、デジタル・オーディオ機器はウォークマン事業部に統一されることになった。
鳴り物入りの音楽配信事業のConnectも、アメリカで「iPodで聞けないの」というユーザーの素朴な主張に対応を迫られMP3を正式にサポートしなければいけなくなった。
というように一部の特殊な人を除いてSONY神話などと言うものが本当はなかったことが明らかになった2004年であった。
純粋にブランド神話を保っているIT企業はAppleだけだったのかもしれない。そのAppleでさえ、5年前には崩壊しようとしていたのだから、ビジョンを持たない経営者を持った企業は消えて行くしかないと言うことである。
ゲーム機を見れば、ゲームキューブに圧勝であったSONYだが、鳴り物入りのポータブル機で圧勝することが出来るかどうかは未知数である。(Playstationは、もともとNINTENDOのゲーム機として開発されたことを忘れていないぞ)
AV機能を標準で持ったPSPに対して、NINTENDOはゲームボーイ・アドバンス用のAVキットをひそかに販売するようである。これは、何の手直しもなくDSで使えるらしい、PSPよりも安いDSにアドバンテージとなるオプションの登場である。
標準で備えるネットワーク機能を使って一つのカートリッジで8人までプレイ出来るゲーム機能、チャット機能、デュアルディスプレイとタッチスクリーン、過去のアドバンス用のゲーム資産。持ち運べるPS2とは全く違う新しいゲームの形をそこに見ることが出来る。
デジタル・オーディオのAppleや、ポータブルゲーム機のNINTENDOによってうかうかしていられない状態に追い込まれつつあるSONY。
SMEやコロンビアがあるからと安心していると、アップルレコードとディズニーを傘下に収めたAppleに立ちはだかれる日がやって来ないとも限らない。
輸出に強いSANYOと間違えて買ってもらうためにSONYという社名にしたことを知っている人間が、世の中にいることを忘れないことで精進することを願うこの頃である。

金曜日, 12月 24, 2004

SONYがiPodを創れない訳

iPodを越えて見せると言ったSONYのHDDプレイヤーの話題をとんと聞かない。テレビコマーシャルは、未だにHiMDだけ。本当に広げようと言う気が無いのならば、何故名乗りを上げてしまったのか。新世代のはずであったPSXは、ゲーム機としてのコマーシャルさえしていない。誰も必要としていないポータブル・ビデオプレイヤーの機能を外してしまえば、Air Walkmanに到底勝つことの出来ないVAIO Pocket、ビデオが再生出来ないのにVAIO Pocketと価格の変らないAir Walkman。VHS vs Bataを社内でやってどうするんだと誰かが言わなければこの会社は消えてなくなってしまう。年末に登場したPSPは、MP3やビデオプレイヤーの機能も与えられている。HDDは付かないとはいえ、これが出てしまえば他のプレイヤーはいらなくなる。社内で一つのコンセンサスを作り出せない状態ではAppleどころか韓国のメーカーにさえ勝つことは出来ない。根本的な原因は、今のSONYにはかつての、井深や盛田に匹敵する人材は久夛良木しかいないことであろう。SONY再生のためにも、金融専門の出井氏には、そろそろご退場を願おうではないか。今のSONYは、Jobsが居なくなって5年位たった頃のAppleのように不透明きわまりないのである。