水曜日, 6月 29, 2005

Microsoftの不幸

 携帯電話の音楽プレーヤーがiPodの売上に影響を与えると言う記事も出てきて流石のAppleも一人勝ちは難しいかという昨今である。日本での携帯音楽プレーヤーの売上はAppleとSONYの2強が明らかになった(とは言ってもSONYのシェアは10%ちょっとのようだ)。AppleはiTunes4.9の公開とiPodの絞り込み(モノクロモデルはこれで終了)を矢継ぎ早に仕掛け、Motorolaの音楽携帯を大々的に発表するだろう(来月初めの発表会はそれ以上の何かがあるかも知れない)。といろいろあるが概ね順調である(まだまだ期待が持てる)。

 さてここに今迷走中の大企業がある(今回はSONYのことではない)。まるで10年前のAppleのようにやることなすこと裏目に出ているのだ。大々的に発表した次期OSの目玉商品が時を経るに従って減り続け増えているのはリリースまでの時間だけである(確か最初の発表を守ならば2年位前に出ていたはずだ)。未だに本当に出るか怪しいベーパウェアと化したLonghorn。このまま約束されていた機能が減り続ければXPよりも機能の少ないOSになってしまうかも知れない。それもこれもビジョンの無い経営者を頂いていることが原因なのだ。バルマーはただのセールスマンだしゲイツには先見の明が無い。何しろ未だに必ずTablet PCが主流になると馬鹿なことを言っている。開いた口が塞がらないとはこういう状態を言うのだ。次世代のDVDのコントロールをしようとし過ぎたためにBD陣営から袖にされて東芝と組む(噂ではMicrosoftに取り込まれた東芝と組むことのマイナスが原因で規格統一が見送られたらしい)という消極的な提携を発表するなど、傍から見ていてババばかりを掴んでいるように思えるのは私だけなのだろうか。

 秘密主義で開発者が右往左往とする(それが無上の楽しみである人達も多い)Appleには次に何が出るかわからない喜びがあるが、言ったことが何も実現されないMicrosoftには絶望しかない。DOSからWindowsへの道は真似が出来るだけで良かった(だからゲイツでもやれた)が、先頭に立ってしまった今。ゲイツのビジョンでは笑われるだけなのである。Microsoftの不幸は、そんなレベルのゲイツが社内では一番のビジョンを持っていると言うことに尽きるのだ。

月曜日, 6月 27, 2005

Macの開発環境の変遷

 今でこそMacの開発環境と言えばCをベースとしたものが当たり前であるが、かつてはPascalが基本であった(大分大昔のことではあるが)。Apple純正の開発環境はMPWという統合環境が用意されていたがPowerPC以前は、Lightspeed PascalやLightspeed C(後にSymantecに買い取られてThink'sという名前に変更)で開発されることが普通で、PowerPC以降はCodeWarriorに一気にその座を奪われてしまった。何と言ってもコンパイルのスピードが段違いだったのと、いつまでたってまともなものを出せなかったのでMacのプログラムツールの開発から手を引いてしまった。やがて時代はOSXとなる。過去の資産との互換性を維持したCarbonの開発にはCodeWarriorに一日の長があったが、Cocoaが当たり前となればXcode(当初はOpenSTEP時代のままにProjectBuilderと呼ばれていた)以外に出る幕はない。実質的に無料(OSに標準で付いてくる)ながらそのツールの価値は数十万円に値するだろう。Carbon、Cocoa、Java、Applescript、gcc(Unix)、WebObjects(4年前までは一本600万円の開発ツールだった)のを開発できるツールが無料と言うのはシェアが低くなかったら絶対あり得ないことである(世が世なら都合六百数十万円のツール)。

 そしてついに、MacはIntelのCPUに移行するために新しいXcodeでは、一つのソースからPowerPCとIntelチップ用のバイナリーを同時に作れるようになった。今迄こつこつとCocoaを作り続けていた人にとってこれは大きな武器になる。普通のPCでMacOSXが動くようになるかどうかはわからないがもしそうなった場合には全てのCPUで動くアプリケーションを作ることが可能になる(噂ではOpenStepの時代と同様に他のチップにも対応可能なようである)。

 マシーンの命はハードではなくソフトであることをAppleが宣言した今、時代はまた動こうとしている。

月曜日, 6月 13, 2005

XcodeがAppleを救う!!

 今回のWWDCは、MacがIntel版に移行すると言う発表ばかりが目立ってしまったが、実際にはXcodeがクロスコンパイラーとしての実力を発揮し始めたことの方が大きいという意見も出てきた。確かにその通りかも知れない。JobsがIBMに最後通牒を突き付けたのは2日前だと言うし、今回の決定は本当にギリギリまで決まっていなかったことがわかる。SONYとも話し合いが行われていたが、CellはPowerPC以上に1ワット当たりの性能が低かったために失望して(要するにPowerbookで使えないCPUなんて要らないということ)、やめたらしい。いくら電機を喰ってもいいのならばPowerPCで良かったと言うことらしい。

 というわけで、話がそれてしまったがXcodeで開発する限り将来別なCPUが選択肢として上がってきても移行できるような開発環境としてXcodeが用意されているよいうことになる。アーキテクチューの違うCPUの垣根を開発環境で吸収できるならば開発者はCPUのことを考えずにアプリの開発を行うことが出来る。新しい開発ツールが発表されるたびに互換性の問題が立ち上がるMicrosoftもここら辺りを良く考えないと、いつかしっぺ返しを食うのでは無いかと心配するのは考えすぎだろうか。

結論:今回のWWDCはチップの移行よりも、Designerがプログラミングできるツール(QuartzComposer)や、CoreImageとCoreVideo(CPUの処理を減らした)ことがより重要だったのである。そしてJobsがMacをMacたらしめているのはハードではなくソフトだと言い切ったところに意味があったのである。

火曜日, 6月 07, 2005

Intel版OSX正式発表

 ついにIntel版のMacOSXが正式に発表された。製品として出てくるのは来年からだが、2007年には全ての移行が終わると言うのだから今回の計画は用意周到だったということだろう。現在のOSXのベースとなっているのはIntel版のOpenStepだったのだから、あり得ない話で無かった訳ではないが、ずっとPowerPCと並行して開発を続けていたと言うのは恐ろしい執念(用心深いと言うべきか)を持っていたと言うことである。2007年と言えばベーパウェアと呼ばれて久しいLonghornが発売される予定であるが、もしも全く同じCPUで動くとなった場合にはどちらの技術が優れているかが白日の下にさらされることになる。Microsoftは今のうちにゲーム屋さんへの脱皮を急いだ方が良いだろう。

 それと、日経新聞がまたまたiTMSが8月に始まると記事にしていた。これで3回目である。またいつもの飛ばし記事だろうか。日経の所為でWSJのIntel版MacOSXでさえ疑ってしまった位である。流石は世界のWSJは嘘をつかない。それに比べ日経は相変わらずデマばかりで...

 相手がAppleなのだから、日経の記事何ぞ気にせず良い子はAppleからの正式発表を待ちましょう。

月曜日, 6月 06, 2005

Inrel版Mac〜その後

 Intel版の噂が本格的になってきたが、ユーザの心理としては非常に微妙である。PowerPC版のサポートが今後も続くのであれば、個人的には問題ないが、もし5年位で打ちきりになるのだとすればとんでもないことになりそうである。それと、PowerPCと比べてIntel版が本当に速いのかと言うことも気にかかる。Tigerでは、グラフィックはGPUに任せる仕様に変更されているのであとは、純粋にコプロ計算が速いかどうかに掛かってくるが、これはCPUのクロックスピードよりもCPUの設計に負うところが大きい。この点は、PowerPCの方が優れていると言うのが、今までのAppleの立場であった。

 そんなことを無視してまで、出さなければいけないほど今のAppleは追いつめられているとは思えないことから、私はメディア・センターとしての新たなデバイスでならばIntelの石もありだと考えてきた。そこでサポートしなければいけないデバイスの数は圧倒的に少ない。これならば、すぐにでも出せるというのが私の読みである。Intel版にフル機能MacOSを用意するくらいならば、Cell用のMacOSを出す方が理にかなっていると思う。

 いずれにしろ、今夜の未明には答えが出る訳であるが、Mac専用のカスタム・チップを出せない限り、Intelの提案が魅力的に見えないのは私だけではないだろう。

水曜日, 6月 01, 2005

WWDC2005で発表されるもの

 前回、Appleがメディアセンターを発表するのではないかと触れたが、同じようなこと予想している人が他にもいるようである。WWDCはソフトウェア開発者の国際会議であるがここ最近常にハードウェアも発表されている。Tiger発表に合わせてQuickTimeも一新されたこの時期にメディアセンターが発表されるのはあまりに出来すぎだろうか。

 今迄に発表されているメディアセンター(Windowsベース)は、どう欲目に見ても出来損ないのPCだった。Appleが手を出す限りはそんな惨めな物ではないはずだ(まだ出すとも決まっていないぞ)。恐らくMacとの連携もとれる形になるのだろうが、単独(ディスプレイを持つと言う意味だ)でもVideoを見ることが出来るデバイスになるはずだ(iPod Movieじゃないぞ)。データフォーマットはQuickTimeをベースにし、ディスプレイサイズは15インチ以上、HDDは80G以下、DVD-RWなどは搭載しない。基本は外部のディスプレイとスピーカシステムを利用してシアターモードで見ると言う代物だ。

 同時に発表になるのがiTune Movie Storeだ。こちらは基本は月額制で垂れ流し方式。保存してDVDに焼く場合には1本15ドルというのが無難なところだろう。さて実際に何が発表されるかは神のみぞ知るであるが、非常に楽しみである。