水曜日, 12月 31, 2008

健全なビジネス

 世間ではNetbookだけが売れているようだが、Netbookはメーカーの体力だけを消耗させる商品だと思う。一昔前までは小さいモバイルは通常のノートPCと比べ高価な商品群だった(だからあまり売れなかった)が、Netbookを出した事によって、普通の人がPCで行っている事の多くはNetbookで用が足りると言う事を教えてしまった。結果的に、ワンプライスのメガネではないが一番売りたい商品(ワンセグや地デジが必要だとは思えないが)がさっぱり売れない状況を自ら作り出すだけになってしまった。だからこそ、1,000ドル以上のノートPC(デスクトップも同様)の3分の2以上のシェアをAppleが握る事になったのだ(Appleも999ドルのMacBookを持っているが、あれは教育機関用の廉価版で主力商品ではない)。

結論:健全なビジネスとは価格競争に巻き込まれない商品を地道に売る事である。レッド・オーシャンだと信じられているPC業界だってAppleのように自分のビジネスを押し通して利益を出す事が可能なのだ。どの業界でも近視眼にならなければ独自の道(実はそれが王道なのだ)は残されている。他と同じ事をしていたのでは生き残る意味などどこにもないのだ。

金曜日, 12月 26, 2008

進化と陳腐化

 国内のケータイメーカーは、話題になっただけで大して売れなかった(日本ではと但し書きが付く)iPhone 3Gを、それ見たことかと考えているかも知れないし、実際にそうアナウンスしているが、そんなことを言っていても仕方のない状況になっているのは日本のメーカーの方である。販売奨励金制度を使えなくなったケータイはメーカーの望むように売ることが出来なくなってきている。

 メーカーは多機能で高価な端末で設けようと考えているがユーザの半数近くは機能は無くても良いから安いものを望んでいる。そんな人達にとって機能てんこ盛りのケータイなんて高いだけの代物なのだ。それなのに、メーカーは季節ごとにモデルチェンジし、3ヶ月前の商品を自ら陳腐化させてしまう。顧客はケータイが陳腐化してから安く手に入れる方法で買い替えを行い、メーカーの思惑は空振りに終わってしまったのだ。

結論:
iPhoneは購入後にも進化を続ける端末であり、ケータイは購入前に陳腐化する端末である。進化と陳腐化。あなたはどちらがお好きですか?因みに私はAppleは好きですが、Softbank モバイルは大嫌いです。

木曜日, 12月 25, 2008

水平分業か?垂直統合か?

 「すり合わせの」神話の回で、池田信夫氏のバカを明らかにしたが、全く別のページで夏野氏(iモード)が行ったセミナーの事が書いてあった。内容は「すり合わせ」の関する事で、結論は池田氏と全く逆のことを言っていたのだ。

 池田氏は、IT業界は水平分業(モジュール化)のだから強く、製造業はそれが出来なかった(すり合わせ)からトヨタのようになってしまうのだと、製造業も水平分業しろと愚かな主張しているが、夏野氏はトヨタは垂直統合だから世界一になれたが、その思想で日本のIT業界が動いているから駄目なのだと言っているのだ。明らかに夏野氏の発言の方が正しい。トヨタの業績悪化(本当にそうだとして)の原因は製造過程にあるのではなく為替の読み違い(それにしても酷い読み違いだ。薄らバカが担当していたとしか思えない)と資産運用の失敗が原因である。池田氏の理屈で物づくりをしていたらもっと悲惨な状態になったに違いない。

 池田氏は物づくりと言うものが一切わかっていないから、水平分業が優れている(自分のいる業界は確かにそうだが)とバカの一つ覚えで吼えまくるが、水平分業で儲かるのはソフトウェアを押えているものであって組み立てメーカーではない、車で言えばその部分は製造ノウハウに当る。

 トヨタだってエンジンを始めとした部品は殆どは下請けのメーカーが作っている(開発はトヨタが中心に行っているが、量産段階に入ると下請けに任せる)。池田氏は全て内製しているとでも考えているのだろうが、トヨタが世界一になったのは、世界一の製造ノウハウ(最高のものを作っているかは別にして、最低のコストで作っているのは間違いない)を持っていたからなのだ。トヨタは既に水平分業は行っており、それを垂直統合しているから強かったのだ。

 Appleを除くIT業界はそれが出来ていない(ソフトウェアを他社に依存している)から脆弱だと言うのが私の考えで、夏野氏の主張は携帯電話業界は未だに垂直統合(キャリア依存型)だから、世界に出ていけないと主張しているのだ。

 水平分業だけだった為に業績が急速に落ちた(恐らくこのままなら破綻だ)代表企業がSamsungである。デジタル化の進んだ家電業界は部品さえ手に入れられれば、どこの国でも組み立ては可能だが、同じレベルの部品を作り出すにはそのノウハウが必要になる。Samsungなどの安かろう悪かろうのメーカーに追撃されていた日本の家電メーカーは、完成品のパーツ出荷と製造方法の漏えいを防ぐために完全内製化で対抗した。部品がブラックボックス化してしまったために、Samsungの技術レベルでは日本製を越える製品を作り出せなくなってしまったのだ。

 そうなれば、小さい企業でも、部品、製造を全て外注に出すファブレス化が進めば、技術的に特別なものを持たない(図体のバカデカい)Samsungが負けるのは当たり前の話なのである。そして、そのファブレス化しか持っていないために息切れしてしまったのがDellなのだ。PCの命であるOSを持っていないPCメーカーは自社に責任が無くてもショウもないOSしか手に入れられなければPCを販売する事は出来ない。もしも、MicrosoftがXPへのダウングレードを認めなければPCの売りようが無かったのがその証拠である。

結論:良く垂直統合の権化のように考えられているAppleは自社工場を持たないファブレス企業である。備品の製造も現段階では全て外注だ。そう言う意味では池田氏の大好きな水平分業の様に見えるが、Appleは自社純正のOSを持つ事によって、完全な垂直統合を行っている。水平分業だけだったらAppleがここ迄上手く筈など無かったのだ。Jobsは水平分業など子供だましに過ぎない事を知っている。そんな事も分からない池田信夫はやっぱりバカなのだ。水平分業か垂直統合かって?両方同時に出来なければこれからは生き残れません。

水曜日, 12月 24, 2008

Macを使ってはいけない10の理由

 Linuxネタでつい熱くなってしまったが、Macユーザの立場から見てMacに問題が無いと言えば嘘になる。と言う訳でMacを使ってはいけない10の理由を述べたいと思う。

その1:怠惰になる
初期設定があまりにも簡単なため、マニュアルを開く事がない(そもそも紙物のマニュアルなんて無い)。何も勉強しなくても取りあえず使えてしまうので、自分の使い方が普通だと思い込み、別な方法があると言う事に気付かずに一生を終えてしまう恐れがある。Windowsじゃないのだから何でもマウスの右ボタンを使うのではなく、せめてショート・カットの一つでも余分に覚えれば作業効率が上がるのに...
その2:侮るようになる
始めて使ったPCがMacだったりすると、コンピュータは誰にでも簡単に使いこなせると思い込んでしまい。WindowsやLinuxも同じように使いこなせるものだと勘違いしてしまう。世の中そんなに甘くはないのだ。
その3:天狗になる
美的センスなど全く無くても、Keynoteでプレゼン資料を作成すればPowerPoint(Windows版の話であってMac版は別)とは雲泥の差の出来上がり。テンプレートが素敵なだけなのに自分に能力があると勘違いしてしまう。素人は、それがアプリのお陰とは気付かず過大な期待を寄せられ、結局追いつめられてしまうのはあなたなのである。
その4:仕事をしなくなる
Macを使う事が面白くて、仕事には関係ないことについ夢中になってしまい、仕事が手に付かなくなる。同じ時間でWindowsよりもしゃれた成果物を作成出来るので、当然手を抜けば時間的な余裕が出来てしまい、余った時間でMacの情報を集め、それでまた仕事量が減ってしまうのだ(私の事である)。
その5:選民思想を持つ
一頃と比べればAppleに対する認知度が上がったため虐げられる事は少なくなったが、20年以上Macに凝り固まってしまった連中(私もそうだ)は、Windowsユーザばかりではなく最近Macを使い始めたユーザに対してさえ優越意識を持ち、どうしても上から目線で物を言ってしまう。初代のPowerBookが良かったとか、MacPortableの蘊蓄を語ったりと、今のユーザに必要のない話どうでも良いばかりをしてしまう。そんな事をするから嫌われるのだ。
その6:辛抱がなくなる
System 7の頃なら我慢しなければいけなかった事が、OSXでは何の問題もなく行えるようになって要求水準がWindowsユーザよりも高くなってしまった。Windowsの画面フォントの汚さ、何個も同じものが起動してしまうアプリの管理の甘さ、ショートカットキーの統一性の無さなど、他のOSでもMacと同じように統一感が保たれていない事を許せなくなってしまう。揚げ句の果てにはバージョンアップの度にOSが軽くなるのが当たり前だと思い込み(OSXはそうなっている)、重くなるのを当然と考えるWindowsユーザをバカだと考えるようになってしまう。重いOSを辛抱して使わされているWindowsユーザの気持ちになって、黙ってWindowsを使うくらいの度量がないといけないのだ。
その7:和を乱す
Windowsユーザがウイルスでてんてこ舞いしているのに、ひとり優雅にWebサーフィンをするのは挑発行為だ。仕方なしにインストールしたセキュリティソフトのせいで動作が遅くなったのを承知しているくせに、「どうしてWindowsはこんなに遅いんだろうね」と、耳元で囁くのは宣戦布告だ。マカフィーのせいで腸が煮えくり返っているのは、あなたではなくWindowsユーザの方なのである。
その8:ジブリが嫌いになる
病が進行すると、アニメは、Pixarしかないと決めつけるようになる(私はジブリの映画にお金を落とした事がないのが自慢の一つだ)。それだけなら良いのだが、宮崎駿のアニメには明確な筋が無く何を言いたいのか分からないなどと平気で言うようなってしまう。ジブリがJobsと関係のないアニメスタジオなのは分かるが、世の中には好きな人が沢山いる事を忘れてはいけない。
その9:Microsoftが嫌いになる
MBU(まっきんとっしゅ・びじねす・ゆにっと)以外のMicrosoftの仕事を評価しないのは行き過ぎだ(最近のMBUは大した仕事をしていない)。ゲイツも身を引いたMicrosoftなどもう眼中に置く必要はないのである。
その10:Linuxが嫌いになる
LinuxとはOSXで言えばMachカーネルの事じゃないか?カーネルが何時からOSになったんだ?などと言うようになったら人間は御仕舞いである(それでは、Linux信者と変わらない)。OSXがLinuxよりも優れている部分は、インターフェイスと開発環境の完成度の高さだろう。KDEやGnomeは(いじり倒したい人には)使い易いかも知れないが、統合環境として比較する対象ではない。オープンソースの良さはカスタマイズが出来る事だが、要するに寄せ集めだと言っている訳だ(これを言うのが一番不味い)。

結論:Macを使い続けるとこんな文章を書くようになってしまう。ユーザになるのは良いがのめり込むと友達が減ってしまうのだ。

火曜日, 12月 23, 2008

LinuxがMac OS Xよりも優れている10のこと

 表題の記事がZDNet Japanに出ていた。どんな内容かと読んでみたのだが、どうもピントがずれているような...

その1:柔軟性
”タスクバーやパネルには、どのような機能でも追加することができる。つまり、Linuxはあなたが考えるどのような設定でも受け入れてくれるのだ。それでも気に入らないというのであれば、他のデスクトップやウィンドウマネージャを選択するということもできるのだ。”というのだが、どうやらどうしてもカスタマイズがしたいらしい。他の人が使えないような物になってしまうというのは考え過ぎだろうか。確かにそんな人はOSXを使うべきではないだろう。
その2:オープンソース
”Mac OS Xは未だに厳格なライセンス下にあり、Linuxのオープンさと競えるまでには至っていないのだ。”というのだが、確かにカスタマイズマニアはオープンソース原理主義者が多い(大体、自分が一番だと思っているから人のやる事を黙って受け入れられないのだ)。
その3:コマンド行
”。Linuxでは、行う必要のあることすべてをコマンド行から行えるようになっている。Mac OS Xではどうかって?幸運を祈る。確かにMac OS Xにも数多くのコマンド行ツールが用意されているものの、様々な作業を行う必要のある真の管理者にとって、それだけではまだ十分ではないのだ。”ときた。予想通りこいつはコマンドを使える自分を選民だと思い込んでいる。どうやらLinuxと同じ引数で動かないツールにブチ当ると手も足も出ないバカのようである。何でもコマンドで動かなければいけないなんてどんな時代の人間なんだ。
その4:ハードウェア要件
”私は自宅にMacを2台持っている。1台は古いiBookであり、CPUは800MHz、RAM容量は512Mバイトだ。しかし、Mac OS Xを稼働させるには、このマシンでは遅すぎるのだ。ところがこのノートPCでも、Yellow Dog Linuxであればずっと軽快に動作する。ハードウェアはそのままでOSを変えただけにもかかわらずだ。もう1台のMacは、1.2GHzのPowerPC G4を搭載し、RAM容量は1Gバイトとなっている。そして私は、これと等価なIntelマシンでUbuntu 8.10を稼働させている。これらのマシンにおけるパフォーマンスは、比較にならないほど違っているのだ。”って、ここ迄来るともう病気だ。i86用に作られたLinuxがPowerPCで遅いと言われたって仕方がない。Intel版Macを使っていない段階でお話は終わりだ。
その5:セキュリティ
”私は10年以上Linuxを使ってきたが、マシンやサーバに侵入されたことは一度もないと断言することができる。もちろんこの事実をもってして、Mac OS Xがセキュアでないということになるわけではない。しかしセキュリティ面において、Linuxにはより優れた備えがなされているのだ。”なら、使えばいいじゃないか。
その6:ポータビリティ
”私は、2つのマシン間でハードディスクをそっくりそのまま差し替えたことがある。アーキテクチャが同じである限り(つまりx86マシンとx86_64マシン間の差し替えでない限り)、ほとんど調整を必要としないか、場合によってはまったく調整せずに差し替えを完了することができたと言える。”というが、Macなら他のマシーンをターゲットモードで起動して、そのマシーンを起動ディスクに見立てて動かす事が出来ると言いたい。ハードディスクを取り出す必要もないのだ。
その7:コスト
”これは多くの人々にとって重要であるはずだ。まず最初にOS単体のコストを挙げることができるだろう。Linuxは無料だ。それだけだ。一方、Mac OS Xは現在129ドルで販売されている。次にハードウェアのコストを見てみることにしよう。最も安価なMacBookは999ドルである。一方、Linuxを稼働させることのできるノートPCはどのような小売店でも399ドルもあれば購入できる。”ほらほら来たぞ。そう言う事を考えている奴はMacなんか使っちゃいけないのだ。そもそも価値観が全く違うのだ。
その8:利用可能なソフトウェアの数
”驚かれるかもしれないが、Linuxで利用可能なソフトウェアの多さはMac OS Xの比ではない。私はfreshmeat.net(UNIX向けのソフトウェアとクロスプラットフォーム向けのソフトウェアを集積しているサイト)でLinux用とMac OS X用のソフトウェアを検索し、ざっくりとした感触を得てみた。検索の結果、Linux用は1万1781件、Mac OS X用は1477件がヒットした。”だとさ。Windowsユーザと同じ言い草だ。別にアプリケーションを集めるのが趣味じゃない限り数が多い事が優れている事ないはならないだろう。要するに、どれも帯に短しタスキに長し何でしょ。
その9:ユーザに対するやさしさ
”AppleのMac OS Xが成功した理由の1つとして、OSのインタフェースをユーザーにとってやさしいものにし、ほとんどすべての作業を誰でも簡単に行えるようにしたことを挙げることができる。しかし、そういったやさしいエクスペリエンスを望まないユーザーもいるのだ。Linuxの場合、さまざまなレベルのデスクトップエクスペリエンスが用意されている。GNOMEやKDEを用いることで、Mac OS Xとよく似た、とてもユーザーにやさしいエクスペリエンスを実現することができる。あるいは、デスクトップ代わりにコンソールを使用することで、まったく逆の方向を追求することも...”自分しか使わないマシーンなら好きなようにすれば良いじゃないか。こんな奴に限ってemacsで何でも出来ると言う事が分かっていなかったりするんだ。
その10:キーボードの効率性
”私がMac OS Xに対して感じている最大の不満の1つは、通常の機能を持ったDelキーがない(訳者注:ワイヤードキーボードにはある)ということである。この機能を使うには、fnキーを押下しながらDelキーを押下しなければならないのだ。これはMac OS Xのキーボードを使用する際の常識であり、バリバリのプログラマーにとっては、サラダが健康に良いというのと同じくらい当たり前のことなのだ。しかも問題はDelキーだけに留まっていない。Endキー(訳者注:ワイヤードキーボードにしかない)も私の期待通りに動作してくれないのだ。カーソルを行末に移動させたい場合、fnキーを押下しながらEndキーを押下しなければならないのだ(つまりfnキー+Endキーでカーソルが行末に移動するようになっている。訳者注:Commandキーを押下しながら右向き矢印キーを押下することでも、カーソルを行末に移動させることができる)。”と言い出した。何だ良くあるパターンだ。こいつMacを使ってるって言ってるけど、Mighty mouse(3ボタンマウス)も知らないし、コピペなどしないでドラッグ&ドロップでコピー出来る事も知らないなんて殆ど素人じゃないか。Macも使いこなせない人間がMacを批判するんじゃない。

結論:みんな自分の使っている〔愛用している)OSを悪く言われるのは嫌いなのである。

ビジネスモデルを考える

 新聞社ばかりかテレビ局まで赤字になるご時世。広告に頼ったビジネス・モデルが終ったという現実を見ようとしないのでは問題が解決する事はないだろう。ネットビジネスの世界でも広告を主体にしたものが未だにあるが、コンテンツを無料で提供しなければならないとなれば、結局コンテンツの質はどんどん落ちて行き、
何れは相手にされない代物になってしまうのだ(テレビ局を見れば明らかだ)。

 時間潰しや暇つぶしにテレビを付けているのが現状だが、作り手側もどうせ視聴者はそんなレベルでしかテレビを捉えていないと考えているか、そうじゃなければ自分達を特権階級と勘違いし番組を提供してやっていると考えているに違いない。テレビ局にとってお客様はスポンサーであって視聴者でない事は間違いないが、そのスポンサーもパチンコ屋とサラ金ばかりになってしまってはもうお仕舞いなのだ。

崩壊したビジネスモデル
ジレットモデル:カートリッジを安価で販売し、替え刃で儲けるという20世紀型のビジネスモデル。替刃の機能競争が行くところまで行ってしまい替え刃で利益を出すまで、一つのモデルを継続できない状態になってしまった。どう考えてもカートリッジよりも替刃の方が製造コストが掛かるような商品では売っても儲けなど出る訳がないのだ。Microsoftなども基本はこのビジネスモデルである。
広告モデル:新聞やテレビに代表されるマスコミ関係は、スポンサーから得られる広告費で利益を出すと言うビジネスモデルである。新聞や放送など規制に守られている閉鎖的な会社が情報を握る事が出来た時代には、独占的な立場を良い事に言い値で広告枠を売る事が出来たが、新聞やテレビで得られる情報よりも鮮度も確度も高い情報が無償で手に入れられるネット時代に、広告費を得ようなどと言うのは虫が良過ぎるのだ。今のレベルで広告費を得たいのであれば無償で宅配するしかないだろう。
バンドルモデル:要は抱き合わせ販売なのだが、最近はバンドルをさせたために一気に評判を落としてしまうと言う負の連鎖さえ起き始めている。私自身はMacユーザなのであまり実感はないが、国産のWindows PCにバンドルされているアプリケーションが、OS自体の足を引っ張っているように思えて仕方がない。実際にParallelで動いている素のWindowsよりも快適に動いているWindowsマシーンにお目にかかった事がないのだ。

Appleのビジネスモデル
その1:無駄なものは作らない。
iPodなどは最初のモデル発表時からバリエーションは増えているが、バリエーションが増えるのは売れているデバイスだけである。Macのシリーズも最小限のモデルに絞り、モデルチェンジ(一つの筐体を2年は使う)も他社と比べれば極度に少ない。
その2:儲からないものは作らない。
Appleは他社との価格競争に巻き込まれるような商品を作らない。最初のiPodは、47,800円(今ならPCが買える)だったが当然利益の入った価格。とんでもない価格に思えても同じ仕様で他社が同じ価格で販売することは不可能だったのだ(HDDだけでコスト割れ)。当然、Appleよりも安く売ろうとすれば利益など全く出せなかったのだ。
その3:ベンダーを巻き込む。
iPodのアクセサリーを見れば分かるように、Appleはベースとなるデバイスに対応するアクセサリーは最低限に押え、ベンダーの参加できる大きな市場を解放している。iTunes StoreやApp Storeも基本的に全てのベンダーに解放され、売れなければコストを負担しないで参加できる敷居の低い市場を用意した。家賃が掛からなければ個人でも参加できる、そこから新しいビジネスが生まれるようにしたのだ。
その4:常に進化する。
ハードウェアを進化させるのは当然だが、Appleはソフトウェアとサービスを常に進化させ提供させるコンテンツそ増やしてきている。そして、iPodなどを見れば分かるように初代のモデルでも現状のiTunes Storeを利用できるようにソフトウェアの更新を続け、互換性を確保した上で進化させている。初代のiPod touchを使っているが2代目の登場と共に始ったサービスを全く同様に享受できるなど他のメーカーでは考えられない事なのだ。

結論:現状で一番上手く行っているビジネスモデルはAppleのエコシステムだろう。サービスを軸に据えて、全てのデバイスが有機的に連動する仕組みが出来上がっている。自社だけではなくサードパーティーやベンダーにも利益を分け与えるビジネスモデルを構築したことが重要なのである。

月曜日, 12月 22, 2008

Appleが仕掛けそうなこと

 MacBook用のOSXの中には同じGPUを使用するiMac(9,1)やMac mini(3,1)の記述があるという話が出てきている。家内と子供達が、我が家のMacBookを交代で使っているので未だに未確認の情報なのだが、同じマザーを使った両モデルがいずれ出ることは間違いないだろう。それが、最後のMacWorldであっても、不思議ではない。

 そんなことより、ここ数年来MacWorldの度に私が書いているOSXにまつわる話の方が重要だと考えている。先日も”逆張り”と言うブログの中で少しだけ触れている”Snow Leopard”は、MacだけのOSではないと言う話だ。OSXに対抗するために発売開始された未完成のVistaは、結果的にMicrosoftの評判と信用を落とす結果になったが、AppleはPC用のLeopardを出さずに静観した。そして、Microsoftは自滅したVistaに見切りを付け、まだいつリリース出来るか定かでもないWindows 7で起死回生を図ろうとしている。そして、Appleは期間を置いて全く新しいOSXを発表する変わりに、CarbonベースのAPIを排除したSnow Leopardを間も無くリリースしようとしている。

 Windows PCの中で目玉となっているのはNetbookだが、Appleがあの仕様のモバイルPCをすぐに発売するとは思えない。なぜならば、どう考えてもあの価格でApple(Jobs)が納得できるような品質の商品を出せる筈はないからだ。でも、
OSをパッケージで売るだけならば話は別だ。

結論:ハードウェアの対応を考えれば互換OSは問題点も多いが、Netbookのようにハードウェアのバリエーションが少なければ...あり得ない話ではないのである。そして何れはAppleは、IntelではないCPU(自社製)に移行するのだろう。

金曜日, 12月 19, 2008

逆張り

 今回が最後になるMacWorld。Jobsの基調講演もないと言う事で新製品の発表もないと考えるのが普通だろうし、私もそう考えている。Appleの話題で年の初めを祝いたいメディアも含めて、今回の発表にはガッカリした事だろう。例年、MacWorldの前に勝手にはしゃいでAppleの株価は上がり、MacWorldで予想通りの発表が行われると株価が下がるのが恒例になっている。

 言ってみれば高い目標を期待され、それを達成しても当たり前と判断されるアスリートのようなものだ。出来て当たり前、出来なかったら非難轟々と、まるで日本のオリンピック選手のような立場に一方的に置かれてしまうのだ。出たくなくなるのは当たり前と私なら考えるのだが。

 と言う事で、天の邪鬼な妄想を...

 Jobsが基調講演を行わないと聞いただけで、新製品の発表も何もないと皆が刷り込まれている。例年では考えられないくらいに期待されていないMacWorldだ。現に発表を受けてAppleの株価は大きく下げ、例年通りならばMacWorld後に更に下げる事だろう。さて、誰も期待していない基調講演で、もしもフィル・シラーが全く新しい製品や、全デスクトップ機のフルモデルチェンジ、iTunes プラスの発表、Snow Leopardの発表、そしてビートルズの音楽配信開始(iChatでJobsとポールが登場)の発表を行ったとしたら、どうなるだろう。恐らく、世の中がひっくり返ったような大騒ぎになる筈である。誰もCESの事など取り上げはしないはずだ。

結論:この方が、インパクトがあると思うのだが...如何だろう。

木曜日, 12月 18, 2008

MacWorldに参加しない理由 〜2〜

 一番肝腎な事を忘れていた。

結論:AppleはもうMacだけの会社ではないのだ。

MacWorldに参加しない理由

 不必要なコストがかかると言うのもあるのだが、画期的な新製品の発表を期待され、勝手に噂で盛り上がられ、そして期待以下だと一方的にがっかりする人達に付き合う為にMacWorldが必要だろうか?

結論:もうそんなことをする必要はないのである。それだけの話だ。その代わりと言っては何だがWWDCは、今後もっと力を入れる筈である。単純に楽しんでくれるだけだったら規模を縮小して参加したのかも知れない。

Netbookを出さない訳

 流石のAppleも11月の売上は前年対比で1%マイナスとなったようである(Appleからの発表ではない)。大きな要因はデスクトップ機の売上が奮わなかった事(日本では相変わらずiMacは売れている)なのだが、単純に総額の伸びからNetbookに市場を奪われているからなどと分析するとんでもないアナリストもいるが、実際にはAppleのモバイルは前年対比で35%も売上を伸ばしているので、Netbookが喰っているのはMacBookではなく、機能ゴテゴテのApple以外のノートPCなのである(共食いして生きていけるのだろうか?)。

 勿論、アメリカの経済状況は悪くなる一方なのでAppleだけがバラ色なんて言う事はないが、Appleは無駄な出費の削減(不要な展示会への参加)や新製品投入の先伸ばし、ソフトウェアビジネス(Snow LeopardやiWork 09)への注力で、しのぐ方針を立てたのかも知れない。無理をすれば出せる商品として、Mac touch(これがAppleのNetbookに当るのだろうがこれはMacというよりは大きなiPod touchになる筈だ)が考えられるが、コストを無視して発売するほど大きな市場があるとは考えていないに違いない。

 AppleがMac touchを出すにはApp Storeが、iTunes Storeの様にデファクトになる必要がある。恐らくMac touchは完全なクローズシステムで、Netbookが機能限定の廉価ノートPCなのに対して、機能拡張版のデラックスiPodという位置づけになるはずである。iPodと同じように外部ストレージなどを付けて使うものではないのだ。アプリケーションは、App Storeだけでダウンロードで購入するだけである。そこまでの準備をするには全く時間が足りないし、Snow LeopardをWindows PC用にパッケージして出す方が戦略としてはローコストだ。Microsoftの迷走は末期症状、XP搭載のWindows PCのサブOSとして僅か10%でもインストールされれば、それだけでVista以上の市場シェアを取る事が出来るのだ。

結論:
ソフトウェアだけで商品を化けさせる事を学んだAppleは、訳の分からない商品を闇雲に発表するようなバカな事はしないのである。ジョブズ以前に訳の分からない商品を闇雲に発売すると言うバカな事をやって十分に懲りているからでもあるのだが...

水曜日, 12月 17, 2008

日本のケータイはガラパゴスなのか

 古い話(とは言ってもそんなに古くはない)になるが、iPhone論議ですぐに出てきたのが、日本のケータイはガラパゴスかと言う話だ。やれ、日本が進み過ぎただけだとか、iPhoneは大した事がないとか、絵文字がとか、でもどれも本質を捉えた発言はされていないように思う。

 日本のケータイがやっているサービスの内容は、実は世界に出していっても通用する。そう言う意味では日本のケータイを擁護する人達の気持ちも分からないではない。じゃあ、日本のケータイで良いのかと聞かれれば全然駄目だと言うしかない。それは、日本のケータイが籠の鳥だからだ。

 インターネットを考えてみれば良いのだが、プロバイダをYahoo!にしたら、Yahoo!のWebしか繋がらないのを普通だと考えないだろうし、OCNのユーザだとYahoo!のサービスが受けられないのは当たり前ではないだろう。アメリカなどのケータイ後進国ではサービスそのものが不十分だったので、インターネット機能を持った携帯電話は不通にインターネットを出来るようにせざる負えなかった。

 日本はキャリアがそれぞれ競い合って同じサービスを自社専用のサービスとして提供しているためにケータイがネット端末だと思い込まされているが、ケータイはネットサービスの一部が可能な端末に過ぎない。似た事が出来ているだけで同じ事をしている訳ではないのだ。

 iPhoneはAppleによる囲い込み戦略だと言われるがハード以外に囲い込みの要素はない。キャリアとの独占契約が切れてしまえば何処のキャリアを使っても同じサービスを受ける事が可能だ。それと比較して日本ではキャリアによるサービスの囲い込みが行われているため、同一キャリアで機種変更をするだけならば同じサービスが可能だろうが、もしもキャリアを移動しようものなら同じサービスが受けられる保証など何処のもないのだ。

結論:日本のケータイのガラパゴス化はハードの問題ではなくキャリアの問題なのである。

粗製乱造?

『ジョブズ VS. 松下幸之助 ”言葉力”で人を動かす』を話題にしたら、竹内一正氏は『スティーブジョブズ 人を動かす神ーなぜ、人は彼に心を奪われるのか?』と言う本まで同時に出していた。『神の交渉術』が、それまでに出ていた数多のApple絡みのつまみ食いだったのでがっかりしたのが『ジョブズ VS. 松下幸之助 ”言葉力”で人を動かす』を買わなかった理由なのだが、もう一冊出ていると言う事は...

結論:新書なら粗製乱造でも良いと言う訳じゃないと思うんだが。そんなことなくって良い本なのかな〜。

AppleのいないMacWorld

 ヨーロッパのMacWorldからAppleが消えて久しいが、遂に次のMacWorldを最後にAppleが米国のMacWorldから撤退する事が決まった。世間では、MacWorldと言えば新製品の発表をしなければいけないような空気があるが、主催者はAppleではないイベント。新製品発表の場をAppleが設ければ世界中のマスコミが駆けつける現状を考えれば、無理してMacWorldに新製品の発表を合わせる意義など既に失われていたのだ。顧客との直接の窓口(リテール・ストア)を持つAppleは、毎日MacWorldを行っているのと同じだとジョブズも大分前から発言していたが、それが現実になった訳である。

 知名度が低い時のAppleに取ってMacWorldのようなイベントは非常に重要な場であったが、iPodのようにデファクトとなる商品を持ったAppleにはそういうものは必要がなくなったのだ。

結論:出せる時、出したい時に製品の発表をしたいAppleに取って日程の決まっているMacWorldはお荷物になってしまったのである。

火曜日, 12月 16, 2008

『ジョブズ VS. 松下幸之助 ”言葉力”で人を動かす』

 先日、本屋に立ち寄った時に『ジョブズ VS. 松下幸之助 ”言葉力”で人を動かす』と言う本が目に留まった。一瞬買おうかなと思ったのだが、申し訳ないが作者が竹内一正氏だったので買わない事にした。以前、『神の交渉術』という本を買ってしまったせいなのだが、あの本の作者が書いたとすると内容は...読むまでもないと。

 本当は読みもしないでとやかく言うのはなんなのだが、松下(幸之助がいなくなってからの松下)とApple(ジョブズが戻る前の最悪のApple)に在籍していた事があるために、両社を絡めた著作が多いのだが、文章が荒くて浅いと言う(私よりは深いのだが)作風(実力か?)にどうにもなじめないと判断した次第である。

結論:読まれた方からの反論をお待ちしております。

ハードからハート

 こんな事を言っても仕方がないのかも知れない(なら言わない方が良い)が、メーカーは、ハードからの発想を捨ててハートからの物づくりに徹するべきである。元々日本の物づくりはハードに魂(ハート)を込めるスタイルだったのに、いつのまにかオーべー(欧米)のように唯物史観にたった物づくりになってしまった。100円ショップの話ではないが、ちっとも肌の温もりを感じるような物が無くなってしまった。

 そんな物づくりを頑なに守っているのは残念ながらAppleぐらいである。SONYは、外面(そとづら)は良くしようとしようとしているが、裏っ返しに堪えるような拘った製品は流石のSONYでさえ作ってはいない。他のメーカーは推して知るべしだ。

結論:キーワードはハートだ。それが解らないと言うのならばMacBookでも買ってみれば良い。開封から、初期設定までを自分でしてみれば何が心に訴えるかを知る事が出来るだろう。

月曜日, 12月 15, 2008

Apple StoreでiPhoneを販売

 経営者の鶴の一声でiPhoneの販売権を手に入れたSoftbankモバイル。尻の重い他社では話にならないのでのったは良いが、あまりの営業の酷さにAppleも堪忍袋の緒も切れたようである。iPhoneはマニュアルが必要な出来損ないの商品ではないが、そうかと言って何の説明もなく売って良いような商品ではない。だからこそ、AT&TもAppleも事前の準備を周到にして備えていたのに、Softbankモバイルはなんの準備も行っていなかったため、旗艦店以外でまともに販売できる販売員がいなかったことが世界で大ヒットなのに日本ではさっぱりとなっていしまった根本原因だったのだ。

 遂に、Appleは自前でiPhoneを販売する。まともに使い方も分からないような連中に販売を任せるなどiPhoneの評判を落とす以外の何者でも無いからだ。Macですでにそうしているように、いずれ販売店を絞る政策に転じる筈だ。いくらテレビCMを掛けても、販売店のレベルが低ければiPhoneの良さ(欠点も)を伝えることは出来ない。現に、自社だけで取り扱っていながらまともに修理も受け付けられないような会社〔AppleではなくSoftbankの方)が、原因で嫌な思いをした人達が世の中には沢山いる。結局、Apple Sotreに掛け合って事無きを得たようなのだが、Appleの直営店のない地域に住んでいる人ではその恩恵さえ受けられない状態なのだ。Apple Storeなら契約からセッティングまで全部受け持ってくれるのだから、もしも購入を考えているのならば、全国に数店しかないがApple Storeでの購入をお奨めする。

 iPhoneが売れないのは物が悪いのではなく売り方が悪いのだから。

結論:初期にiPhoneを購入した人達は、端からSoftbankなど信用していない人達。普通の人に売ろうとなればAppleが自ら販売をしなければならないのは仕方ない話だ。きっと、Appleは次のキャリアとの契約も極秘に進めているんじゃないだろうか。どこかって?まずは、Softbankモバイルを吸収する予定の会社じゃないの。

金曜日, 12月 12, 2008

99ドルiPhone

 Wal-Martで99ドルの廉価版iPhone 3Gを売るのではないかと言う噂がある。確かにWal-Martのメインターゲットとする顧客にはそれくらいの価格が良いのだろうが、そこまでして売らなければいけない理由がAppleにあるだろうかと言われれば、そんなものは何処にも見当たらないのだ。日本の状況(日本でヒットしないのはキャリアが悪いのだ)とは違いアメリカでは未だにiPhoneは大ヒット商品だ。価格競争しなければいけないライバルもいない。

 廉価版のiPhoneは4Gモデルだと言うのだが、どっかのメーカーのように売上が悪いので容量を減らし機能を落とした製品を追加投入するなどということを現在のAppleが取るとは到底思えない。確かに初代iPhoneは発売開始後に大幅な価格改定(値下げ)を行ったが、それは予想よりも売れなかったからではなく売れたので安い価格で利益が出せると判断されたからだ。もしも、100ドルのiPhoneを売る時が来るとすれば、それは今の下位モデルと同じ容量や機能を確保した上で、提供可能な別モデル(次期モデル)が出てからの話になるだろう。

 もしも本当にWal-Martが、99ドルでiPhoneを販売するとしたならば、それは現行のiPhone 3Gの8Gモデルをクーポンのようなものを付けて実質99ドル負担と言う形になるのではにだろうか。つまり、払うお金は199ドルだが、お客さんは100ドル分の他の商品を購入できると言うスタイルだ。あくまでWal-Martの販促であってAppleの廉売ではない形である。

結論:Appleにはブランド価値を下げてまで廉価版を投入しなければいけない台所事情など今のところ存在しないのだ。

木曜日, 12月 11, 2008

iPhoneはおもちゃじゃない

 盛んにテレビで流れているiPhoneやiPod touchのコマーシャルがゲームだからと言っておもちゃだと考えてもらっては困る。あれは任天堂DSがライバルになると考えているので仕掛けているだけであって、スマートフォンとして勝ち目がないからやっている訳ではない。少し前まで主戦場と考えられていた音楽プレイヤーの世界は既に制覇したため、そんなものを宣伝する必要が無くなったからである(どっかの会社は未だに音楽ケータイなど出しているが)。

 同様にスマートフォン市場も放っておいても間も無くAppleの軍門に落ちる。日本のケータイメーカーやキャリアは日本のケータイの方が進んでいると言うが、ハードウェアでガチガチに固められている日本のケータイはスマートフォンになることは出来ない(スマートフォンを作っている日本のメーカーはないのがその証拠)。Androidが出れば(もう出ているよ)出すよと言いたいのかも知れないが、各社が自社の売りをハードウェアの差別化で出そうとすれば、結局MSXパソコンみたいに互換性のない世界を作り出してしまい失敗に終るのだ。

 チャットだろうがビデオだろうがソフトウェアで解決できるハードを実装しているAppleのデバイスはおもちゃにもなれば、リモコン、プレゼンテーション機器、ナビゲーションシステムにもなる。ビジネス専用がスマートフォンだと定義すればiPhoneよりも優れたものはいくらでもあるかも知れないが、人によってどのような機器としても使える事がスマートフォンの定義だとすれば今のところiPhoneよりも優れたスマートフォンは存在しないのだ。

結論:無料のアプリだけで色んなことが出来る(毎日凄い勢いで増えている)デバイスなんてiPhone/iPod touchしか存在しない。iPhoneはおもちゃではなく化け物(本当に何にでも化ける)なのだ。

任天堂が強い訳

 SONYのゲーム機のことはボロクソに書く(Microsoftは眼中にもない)のに、任天堂に関してはWii がまだ、Revolutionと開発名で呼ばれていた時からテレビゲーム機を制するとべた褒めだったことは、過去のblogの読者は既にご存知だろう。それは、両社のゲーム機に対する姿勢の違いから判断したのだが、ITmediaの”任天堂の岩田聡社長が目指すもの”という記事を読んで、私の判断通りだったことを再確認した。

 岩田社長は、「生活必需品でない当社製品を購入してもらう方法を常に考えていきたい」と答えているが、これは非常に大切なことだ。生活に必要なものを売っている訳ではない。所詮はゲーム機(卑下している訳ではない)と分をわきまえているからこそ、楽しめなければ買っては貰えないと言うことを理解しているからこそWiiやDSは今の形になったのだ。

 それと比べSONYはゲーム機をバカにしている。ゲーム機ではなくSONYの技術を買わせていると考えているのだ。だからゲームの本質とは関係のないBlu-rayを搭載する理屈付けのためにグラフィック機能が弱ければ動かないようなゲームを中心にゲーム機の仕様を決めてきた。そこには、テレビの前でゲームを楽しむユーザの姿などは全く想定せず、自社の資源を如何にハードウェアに組み込むか(PS2におけるDVDのように Blu-rayを普及させるための一手段として)だけを考えてPS3を開発したのは明らかなのだ。

 それは、両社の生い立ちの違いだろう。トランプや花札から始った任天堂は未だにトランプや花札が無くならない(稼ぎ頭ではないが)理由を知っている。ローテクであっても楽しめるものは無くならないことを知っているからこそ、ユーザを喜ばせるためにゲームを作り出そうと常に考えているが、SONYはPS2が売れた理由を優れたハードウェアだったからだと考えていたのだ。何度も書いているが最初にヒットしたPSは任天堂のために開発されたマシーン。任天堂がカートリッジに固執しなければ、あれがNintendo64になっていたのだ。つまりSONYの成功は任天堂のおこぼれから始ったに過ぎないのだ。

 DSiは、iPhoneやiPodの様になろうとしているが、これも正しい判断だと思う。iPhoneやiPodの本質はスペックにあるのではなく使って楽しく、気持ちが良くなる事にある。SONYがWalkmanで失敗したのも任天堂との戦いと同じで、ハードウェアスペックだと考え、楽しめるという尺度で物づくりをしなかったことにある。Appleのデバイスは他のメーカーのものと違って必要に駆られて買うようなものではないからこそ(任天堂のゲーム機と同じだ)、使って楽しい使って気持ちが良くなることを忘れないようにしているのである。

結論:物を作ったり売ったりしている人達は自社の製品に自信を持っているために、世の中に必要なものだと思い込んでしまう。それが慢心になり顧客のことを忘れてしまっていることに気付かなくなる。そして何れは買ってもらっているのではなく売ってやるのだと考えるようになってしまう。お金を貰う側が出す側よりも上などと言うことはあってはいけない。自社の商品が必需品などと考えた瞬間に歯車は狂ってしまうのだ。

火曜日, 12月 09, 2008

iPhoneじゃない音楽携帯話

 何を今更と言う音楽携帯をソニーエリクソンが発売する。Xminiと言う名前らしいが、Apple以上に思い切った仕様(オサイフ、ワンセグ、GPSどころかカメラさえない)でケータイに5年前のiPodを付けたような代物になってしまった。auが新たに始める”着うたフルプラス”に対応する機種第一弾なのだが、正直な話どうしちゃったのとしか言い様の無いものである。音楽専用と言いながら容量はたったの4Gしかないし、サイズが小さいのに無理やり10キーを付けたために操作はし辛そうだし、ユーザのことを何も考えていないことがよく分かる素晴らしい商品である。

 更に、折角圧縮率の低い高音質のデータを再生できるのに、Bluetoothを使う以外は携帯電話用の平型端子のイヤフォンしか使えないと言うどうしようも無い仕様、コネクタで変換はできるがステレオイヤフォンジャックを装備していればダイレクトに好きなイヤフォンをダイレクトにさせたのに、iPodのお陰で世の中には高性能なイヤフォンが溢れていると言うのにやっていることの真意が何処になるのかが全く不明なのだ。

結論:今更Walkman付き電話を出すなんてどうかしている。どうせ出すのならとことん音質に拘ったWalkmanに電話を付けたものを出すべきだと思うのだが...

金曜日, 12月 05, 2008

欧州でiモード?

 欧州でiモードが普及しなかったのは接続に専用の端末が必要だったからだろうとdocomoは考えているようだ。端末のOS部分からiモードを切り離して使えるようなソフトウェアを作ればiモードは普及すると言うのだ。iモードがデファクトになれたのは家庭でのインターネット利用の普及以前に始ったからであり、もし今から始めるのであれば絶対に成功しない技術だ。docomoを辞めた夏野氏はそこが分かっているので、iモードの使命はもう終ったと判断したのだ。

結論:そんなことをするよりも日本でiPhoneのキャリアになる方が良いと思う。どうせソフトバンク・モバイルは身売りになるんだろうから...

Appleが、今Netbookを出さない訳

 PCの全然売れないメーカーはこぞってネットブックやらという商品に社運を懸けているようだ。とは言え実体は画面の大きさと機能を削ったノートPCを100円で売りさばこうとしているのと五十歩百歩。売ったって全然儲からないのに、カスゴミは2008年のヒット商品のように書いているけど、その分ゴテゴテの(どうでも良い)機能満載のノートが全く売れないのだからお話しにならないんじゃないだろうか。

 Netbookは出さないのかと聞かれたJobsは500ドル以下でまともなPCなど作れないと答えていたが、本心ではAppleが作るならばBMWのZシリーズのようなモバイルPC。差し詰めAirはMシリーズで、iPhone(iPod touch)は単車と考えれば他のメーカーに追随しない理由が分かるだろう。顧客層が違うのだから慌てて出す必要など無いのだ。

結論:要は普通車が売れなくって軽が売れているのと同じ話(その軽さえ売上が落ちるほど経済は右肩下がり)。パイが増えないので、そんなものを売っていたのでは先細りになってしまう。安売りの軽自動車じゃ屋台骨は支えられない。MacBook(2008Late)触ってみれば、AppleがNetbookを出さない理由が分かる筈である。

木曜日, 12月 04, 2008

iPhoneを越える物を作るには

 中島聡氏のblogでiPhoneに対抗するデバイスを作るには何をすれば良いかと書かれていた。氏の指摘されていることで語り尽くされているのだが、自分なりに考えを書いてみたいと思うのである。

iPhoneを越えるには
その1:Steve Jobs以上に優秀な経営者がリーダシップを持って徹底的に細部にこだわった商品を開発する。四半期毎にモデルチェンジをしなければいけないような商品は出さないことだ。
その2:Appleと同じ土俵には絶対に立たない。もうiPhoneと同じジャンルの商品のことはきっぱりと諦める。
その3:技術者に商品開発をさせない。普通の技術者が考える商品は素人には理解できない。操作にボタンが4つ以上必要な製品は欠陥商品だと考えるくらいでないと消費者が飛びつくような商品にはならない。
その4:iTunes Storeよりも使い易いWebサービスとiTuensよりも使い易いアプリケーション、iPodよりもシンプルでかっこいいデザインのデバイスを、Steve Jobsよりも上手なプレゼンテーションで発表すれば可能かも知れない。

 まず何のジャンルのデバイスでも構わないから、ソフトウェアやオプションで機能が拡張できる構成でハードウェアを作る。ユーザはデバイスの管理を単独のアプリケーションで行え、コンテンツや追加アプリケーションを個人が自由に選択できる環境を整備しなければいけない。現在、それが出来ているのはAppleと任天堂くらい。誰にでも使える商品でなければ誰も買わない。触ってみなければAppleの商品の良さは分からないが、触ったことのある人はもう他の商品には戻れないと感じることだろう。

結論:それが出来るのならば、既にiPhoneを越える商品を出している筈である。今それが、出来ていない企業に作れと言っても土台無理な話だと思うのだが。

Windows 7は、OSXにそっくり?

 カーネルは、Vistaのものを使うことが明らかになっているWindows 7。受け入れられなかった理由がUI〔ユーザ・インターフェイス)にあったと考えたのかは定かではないが、評判の悪い画面回りの余計なビジュアル・インターフェイスを捨て去り、もっとシンプルなものにするらしい(簡単かどうかは知らない)。

 Windowsしか知らない人から見れば、OSXはWindowsの真似のように見えるかも知れないが、行き過ぎたユーザ・インターフェイスをOSXのようにする(見た目だけなのだろうが)と言うことは、まさしく先祖返りを目指しているということである。

 Office2007を使ってみれば分かるように、Microsoftはあまりにもインターフェイスを無定見にいじり過ぎる。思い付いたものを付け足せば良いと考えているのだろうが、作法が違ってしまったのでは今迄使えた人が一から使い方を覚えると言う負担を負わなければいけなくなる。そんな事に時間を掛けるよりも、本来約束していたファイル検索Engineであるとか重要な機能の追加を行えば良いだけなのだ。みかけや操作法はXPのままの方がユーザには有り難いのだ。

結論:OSXとの違いが見かけだと考えている限りMicrosoftには、本物のOSなど作る事は出来ないのである。

水曜日, 12月 03, 2008

Vistaは、Me IIだって

 Windows Vistaが発売されて2年になったが、何年も無駄に時間を潰してリリースされたのに一向に鳴かず飛ばずのVistaをMe IIになりそうだと言う記事が出ていた。何を今更と言うのは私のブログの読者ならばご存知のことと思うが、ついにMeのように無かったOSと言うのが定説になりそうである。

結論:Vistaを見ればMicrosoftがどうなっているかは明白である。