金曜日, 11月 25, 2016

ARMに対するアプローチの違い

Microsoftは、Windows RTでARMプロセッサーに対応をとなっていたが、ARM専用のアプリでなければ動かない中途半端なものだったために結果的に失敗となってしまった。もう諦めたのかなと思っていたら全く元気のないWindows mobile 10用にARMプロセッサー上で稼働するx86エミュレーターを開発しているらしい。次の大型アップデートとなるRedstone 3に搭載されると噂だが何が何でもモバイルでWIndowsを動かしたいと言うのがMicrosoftの戦略のようだ。

対するAppleは何もアナウンスはないが既にシングルコアレベルでは処理能力がMac Proに載っているXeonを超えたと言われているA10の次のA11であれば十分にmacOSを動かす能力がある。Intelのチップとは全く違うARMではあるがAppleはPowerPCからIntelにあっさりと移行したようにARMで動くmacOSは何年も前から開発を続けているのは間違い無いだろう。もちろんAppleはMicrosoftとは違いiOSデバイスに載るmacOSを作ろうとしているのではなくMacにARMプロセッサーを載せようとしているはずだ。

Xcodeを使えばIntel版と同時にARM版のバイナリを作り出すことは可能な上、ハードウェアも自社設計なので使われている部品との整合性を取るのも簡単である。問題となるのは過去のバイナリをそのままARM版のMacで動かすことができないことだがその部分はIntelチップでPowerPCのバイナリを動かすために用意したRosettaのようなプログラムコードを適宜変換する仕組みを用意するだろう。そのようなものを使って現状のMacと変わらない速度を出すには高性能なARM系のチップが必要なため技術的には可能だが製品にしてこなかったと窺われる。そして、ARMプロセッサーの最初のターゲットになるのはMacBook。MacBookにCoreMを載せているのはIntel版のアプリはA9やA10ではCoreMよりも処理速度が遅いからと考えるのが早い。次期チップであるA11がプログラムコードの逐次変換を行いながらでもCoreMと同等になった時ARM版のMacBookの登場となるのである。

結論:AppleもMicrosoftもARMプロセッサーでPC用のOSとアプリを動かそうとしているのは一緒なのだがMicrosoftはARMの載っているモバイルデバイス(スマホやタブレット)で動くWindowsを目指し、AppleはMacにARMプロセッサーを載せることを目指している。両者には大きな違いがあるのである。

水曜日, 11月 16, 2016

AIには色々な方向性がある

元々エンタープライズを対象にするビジネスがメインだったMicrosoftやIBM、SNSのFacebook、検索からスタートしたGoogle、購入履歴からCRM分析を飯の種にしてきたAmazonが「Partnership on AI」連合を設立した。その中にAI重視を打ち出しているAppleが参加しないのは腑に落ちないとの意見もある。

Apple自身もビックデータを軽視していない証拠にResearchKitなどのフレームワークを用意し医学会でのデータ共有に貢献している。私のようなApple信者ではない人はAppleはクローズな世界に未だに閉じこもっているだけだと批判するが共有すべきデータとそうではないものを厳格に分けるべきだと言うポリシーの上に立つAppleの方向性を理解しろという方が土台無理なのだろう。

Appleもビッグデータに興味がないわけではないが、その部分に関しては大昔から見て処理速度以外にそんなに大きな進化はない。そんなことはないとの批判もあるだろうが理論としては何十年も前に考えだされていたものがようやく実現しつつあると考える方が認識として正しいだろう(大した結果は出せなかったがリコメンドシステムのエージェントを作っていた)。森羅万象のデータを保存できるDBとその膨大なデータを解析可能な処理速度を手に入れ最適解を出せるようになってきたのが現在である。ルールがはっきりしているものAIなら何十年前に実用になっている。

そんなAIの世界にあって未だに答えが見つかっていない分野が、チューリングテストをクリアするような相手が人なのか機会なのかが判別できないようなインターフェイスを持ったAI。その部分をうまく誤魔化したものには人工無脳があるが、Appleは知性を持ったインターフェイスを作り上げるためにAIの技術を駆使しようとしてSiriを手にいれた。現状、与えてくれるサジェスチョンは他社のエージェントの方が的確な事が多いようだが、対応がより人間的なのはSiriではないだろうか。そこがSiriの魅力なのは間違いないだろう。現状のSiriの問題点はユーザーの質問のログを残さない仕様(音声による個人識別を行なっていないので残さないのだと思う)のためユーザーの好みなどをベースにして予測をする事ができない事だがいずれ個人を特定した上で最適な対応をするように成長してゆく事だろう。

結論:他社のAIはデーター解析に重きを置き、Appleはインターフェイスに置く。AIと一括りに捉えると「Partnership on AI」になぜAppleが参加しないのだという話になるのだが、やろうとしている事が違うと分かっていれば何も疑問に思うことはないのである。

火曜日, 11月 01, 2016

MacBook Proを買ってはいけない 〜10の理由〜

大方の予想通りに発表されたMacBook Pro。これだけ長いこと待たされたのだからできれば処理能力的には大きな違いが消費電力が圧倒的に小さいKaby Lakeで出して欲しかったとお嘆きの方も少なからずいるのではないだろうか。何かを発表するたびにAppleはイノベーションな企業じゃなくなった、Steveがいればこんなことにはならなかったと馬鹿の一つ覚えは相変わらずだが、スマートフォン以前にすでに成熟商品になってしまっているPCであっというような進化を毎年のように求める方がおかしいのである。そんな連中の考えている進化なんて次の年にはもう誰も話題にもしないようなどうでも良いものばかりなのだから。

というわけで今回は4年振りに色々な点が変更されたMacBook Proを買ってはいけない(と言っている連中の)理由に関して書いてみたい。

買ってはいけない10の理由
その1:起動音がない
スペシャルイベントのプレゼンでは誰もそおなことは言っていなかったがMacでは定番だった電源が入ったことを知らせる起動音がついになくなってしまった。システムが不安定な時代は連中聞かされた起動音もなくなるとなると寂しいと宣う人がいるが、正直Macのシステムを終了したり再起動を掛けたりすることなどOSのアップデートの時しかないのが今のMac。Windowsユーザーはどんな使い方をしているのかは知らないが起動音をどうしても聞きたい人は買ってはいけないのである。
その2:SDスロットがない
一眼レフのデジカメも持っているが大抵はiPhoneで済んでしまうので持ち歩くことなどない。当然SDメモリ経由でデータをやり取りすることなどなくなってしまった。それなのに滅多に使わないものを標準で装備するなど意味はないと言う論理的な判断ができない人は未だに絶滅していない。そんな絶滅危惧種がこれから増えることはないとは思うがそんな人は買ってはいけないのである。
その3:USB Type-Cしかない
未だにシリアルポートが付いているものを探すような人にとって最新のインターフェイスはUSB Type-A。同じIntelの規格とは言えThunderboltなど知る由もないのだからUSB Type-Aが一つもないと言うことはあんたらに使って欲しくないと言われたも同然。そこまでコケにされたら買う気など失せてしまうのである。
その4:イヤフォンジャックは音声入力ができない
iPhoneから消えたイヤフォンジャック(3.5mmミニフォンジャック)がなくなるのではないかと大騒ぎをしていた連中が胸をなでおろしたのはイヤフォンジャックポートがあったから。そんな人たちの喜びも束の間、既存の3.5mmイヤフォンジャックはオーディオ入力ポート(光オーディオ入力可)兼用の仕様だったのに今回は単純にオーディオ出力専用ポートになってしまったらしい。3.5mmミニフォンジャックをオーディオ入力ポートとして使いたい人は買ってはいけないのである。
その5:Kaby Lakeじゃない
何年も待たされたのだからSkyLakeを飛び越してKaby Lakeを積んでくるだろうと私も期待していたくらいだから、そう考えていた人も何人かはいるだろう(多くの人はそんなことは期待していない)。それなのに入っているのは1年落ちのSkyLake。第7世代と言われるKaby Lakeは実はSkyLakeの省電力化を優先した改良型にすぎないと言うことは分かっているが次世代の言葉の響き(実利ではない)が大事なドヤ顔がしたいだけの輩は買ってはいけないのである。
その6:escキーがない
VIMなど使うことのない私にとってメニューバーから「強制終了…」を選ぶ面倒を省くために使うショートカットでしか使わないescキーだが、VIMがないと生きていけない人にとってはこれだけはなくして欲しくない重要なキー。それがあっさり取り払われてしまった。VIMと心中が理想の人は買ってはいけないのである。
その7:そのトラックパッドが大きい
大きすぎて手のひらでおかしな動きをするのではないかと心配しているWindowsユーザー(MacユーザーはMacのトラックパッドがWindowsのようにしょうもないものでないことは知っている)はパームレストの半分も占めようかと言うトラックパッドに怖気付く。Windows PCにとってトラックパッドが無用の長物だからなのだが刷り込まれた記憶をあっさりと拭いされるほどWindowsユーザーは柔軟ではない(柔軟ならMacに乗り換えている)。そんな人は買ってはいけないのだ。
その8:タッチパネルじゃない
iOSではタッチパネルはなくてはならないインターフェイスであることは一般常識だが、水平面で使うわけでもないしOSでフルサポートされているわけでもないのにタッチパネルをスクリーンに実装してしまうのがWindowsメーカーとユーザーの常識。さすがに長時間そんな使い方をしていたのでは腕に支障をきたすと気付いているMicrosoftは水平に近いくらいに倒して使えるようにしたようだが、恐らくタッチパネルになっているのに多くのユーザーはマウスを使うのだろうなと。PCを使うということは鍛錬を意味すると考える人はMacBook Proを買ってはいけないのである。
その9:ファンクションキーがなくなった
何かを載せる時に何かを取り去るのがAppleのやり方。ソンポートを使う新製品など出るわけがないのにと思うものを後生大事にしているWindowsユーザーからしてみればファンクションキーを取り去るなど言語道断。ファンクションキーはアプリの重要な役目を割り当てるための重要なキーなのかもしれないが(実際にそんな目的でWindowsを使ったことがないので本当はどうかなんて知らない)、物理キーなのでアプリごとに機能をわかりやすく表示させることなど不可能。そんなもの取っ払って視覚的に分かるものにする方が助かるでしょと言うのがAppleの考え。対応アプリはこれからなので本当に使いやすいかどうかはTouch Barに対応するものが揃ってからの話。マウスとファンクションキーがないと途方にくれるような人は買ってはいけないのだ。
その10:全然革新的でない
コンピューター周りで革新なんてマイコンから本当の意味でパーソナルコンピューターに変わったAppleⅡの登場や一般ユーザーがコマンドを使わずにコンピューターを使えるようになったMacintoshの登場くらいしか無かったのじゃないかと考えている人間からすれば世間で言うハードウェアの革新の多くは技術の発展に伴う進化でしかない。非接触で充電できないとか(挙げ句の果てに爆発するものもある)、タッチパネルで操作できないとか(マウスが必需のPCを使ってる奴に言われたくない)、Blu-rayが見られないとか(さすがにそんな奴はもういないか?)、いずれ今よりも良い方法が登場して置き換えられるハードウェアを載せることを革新だと信じている人は買ってはいけないのである。

結論:誰よりも早くスターバックス(今ではどこにでもあるカフェに過ぎないが)でドヤ顔でTouch Bar搭載のMacBook Proを見せびらすのが目的の輩やIT業界でレビューやテクニカルレポート、アプリの開発を生業にしている人以外はどうしても買い替えなければならない事情がないなら慌てて買う必要はない。Appleの製品は半年やそこいらで陳腐化したりしないし(4年もデザインに大きな変更はなかった)、次のWWDCの頃にはKaby Lakeを載せたマイナーアップデートがあるかも知れないから待ってもいいのである。そうは言っても相変わらずのクールなデザイン。思わずポチってしまっても神様は許してくれるのである。