金曜日, 9月 18, 2015

サイレントマジョリティーの声を聞け

エンドユーザの本当のニーズではなくライバル企業の顔色と市場調査という誰もが必要とはしていない機能を盛り込むことでメーカーは販売数を伸ばそうと必死である。売上を上げなければいけないのは私も同じだが、そのアプローチの仕方は私たちは他社とは全く逆のベクトルを向いている。

誰もが必要とする機能と書くと難しいように感じるかもしれないが、電話と名乗るなら電話が掛けられなければいけないという低レベルの話。テレビという限りはテレビ放送が映らなければならない。でも、そんなことは当たり前なのでそこで他社に差をつけるなど不可能な話。そこでメーカーが考えることは10人の別々な人たちが欲しがる機能を10個付ければ100人に売れるだろうという算術計算。そんな単純じゃないぞと反論もありそうだが実際のところ実態はまさにそうなのだ。

大体、メーカーが陥る過ちは敵に回したくないヘビーユーザの意見をマジョリティーだと決めつけてその人たちを満足させられれば他の人にも響くと考えることである。確かに彼らを敵に回してネット上でどんな罵詈雑言が乱れ飛ぶかを楽しみたいなどと言う根性の据わった人間などいないだろうが、そこにこだわり過ぎてしまうとその機能を必要としていないサイレントマジョリティーは静かに離れていってしまう。それが日本のメーカーが不振に陥っている最大の原因なのである。

ネットで大声をあげる人と言うのは往々にして少数派の場合が多い。何故なら大勢側の人間は大きな声を上げる必要などないからだ。話を元に戻そう。どんなにすごい人であっても人が考えつくことなどそんなに大きな差など生まれはしない。だから他社に差をつけようとすればするほど特徴のないものになってしまう。同じ土俵の上に乗っている限りは他と全く違うことなど到底不可能。そんな状態でも利益が出せるのであればやる意味はあるかもしれないがそんなものは20世紀で終わってしまったという現実を見れば…実際には見たくないのだ。

結論:メーカーはものを作ることが商売なので当然ハードにばかり目がいく。そして機能の差はハードでしか実現しないと思い込んでいる。ユーザのサイレントマジョリティーが望んでいるのは買ってきたその日だけ試してみる機能ではなく使いやすさだというのに。

大いなる誤解を正す

Appleの筐体の変更は基本的に2年に一回。ナンバーが新しくなる時に見た目が大きく変わるため「s付き」は表面上は大きな変化がないためマイナーバージョンアップ扱いで大したことがないというのが大方の反応。挙げ句の果てには高城さんのように本人の方が終わっているのにAppleのイノベーションは終わったなどとのたまう人まで出てくる始末だ。Appleの情報を常にトレースしている私のような信者が特別なのだと言われればその通りなのだが、過去のモデルの違いを見てみれば自ずと「s」が言われているようなマイナーバージョンアップではないことが明らかになるのである。

検証
4s:4sはAppleが設計開発を行った初めてのSoCであるA5を搭載。初めてのデュアルコアでグラフィック性能は7倍に。UIとしてはSiriを初めて搭載
5s:5sは初めて64ビットチップを搭載。指紋認証システムTouch IDが搭載された初めての端末。初めてのモーションコプロセッサーM7を搭載。バーストモードやスローモーションビデオが可能に。
6s:6sは初めて3D TouchとTaptic Engineが搭載されUIが新しい次元に。A9にはモーションコプロセッサーM9を初めて組み込み。Siriもスリープ時も含めて常時利用可能に。

結論:メジャーナンバーは筐体の大幅なモデルチェンジ、sはUIや内部構造の大幅なモデルチェンジを担っているのである。「s」はマイナーバージョンアップというのは大いなる誤解なのだ。

火曜日, 9月 15, 2015

イノベーティブだったAppleの発表会

度肝を抜くようなハードウェアが登場しなかったので期待はずれだったと感じている人も多いかもしれない今回のAppleの発表会。確かに発表されたハードウェアそのものは事前予想通りになると持っていたので私も午前2時起きてライブでキーノートを見ようとは最初から考えてはいなかったが、Appleの動きをよく知っている人たち(私のような信者と勘違いされてる)は今回の発表を高く評価している。見た目上マイナーバージョンアップに思われるiPhoneなどはその典型でメインのチップ、カメラ、3D Touchと見た目とは違う大幅なアップデートがなされた。s付きモデルはマイナーバージョンアップと世間では考えられているようだが実はこちらが完成形で、sなしの方は筐体のモデルチェンジの色合いが強いのだ。

今回のメインの話から逸れてしまった。今回のAppleの発表で一番重要だったことはハードウェアの進化よりも新しいユーザーインターフェイスを複数発表してきたことである。一つは、Steveがあれだけクソだと言っていたスタイラスペンをiPad Pro用に出してきたことだ。Steveの発言をそのまま受け取るしかできない人はクックが、またSteveの否定していたものを他社に追随して出してきたと考えているようだが、iPhoneやMacBook Airを出してきた時にタブレットなどクソだと言いながらiPadを出してきたのと同じようにスタイラスペンに関してAppleは10年以上前から研究を続けていたのは間違いない。

まずは、iPad Proのオプションとして発表されたApple Pencil。iPad Pro専用になった理由は、Proのスクリーン内にペンの位置情報を正確に取るセンサーが入っているからだろう。レイテンシは数ミリ秒なのでほぼ同時に描画される上に、内蔵されているセンサーによって筆圧だけではなく傾きに応じて描画のタッチを自由に行えることは今までのスタイラスペンを凌駕するものだろう。

次はiPhoneの3D Touchだ。すでに幾つかのメーカーが3Dタッチセンサーを組み込んだスマホを出しているようだがベースとなるAndroidはOSレベルで3Dタッチセンサーをサポートしているわけではないのでその恩恵は限られる。もちろんiPhone 6sもアプリで対応されていなければPeek&Popなどの機能は使えないだろうがAppleが標準のUIとして3D Touchを用意したので今後は標準の機能となっていくだろう。そして、押し込みをTaptic engineを使ってフィードバックしてくれるので操作感はかなり向上するはずである。

最後はApple TVのコントローラに搭載されたRemote Siri。単語レベルでしか命令ができない音声コントローラが多いなか、自然な会話でコントロールが可能になるのは大きな前進だ。何秒戻せではなく「今の所よく聞こえなかった」で自動で数秒戻り字幕まで表示するのは多分にデモンストレーション用の気はするが、メタ情報をきっちりと登録していれば様々な方法でコンテンツ選びが可能になるのは大きなメリットだ。

結論:文字入力するには操作ボタンの少ないApple TVの操作は音声で、画面を指だけで操作する方が使い易いiPhoneには3D Touch、そして大きな画面を持つiPad Proには高性能なApple Pencil。今回の発表でAppleは他社が追随してくるであろう次世代のユーザーインタフェースを3つも登場させた。これは間違いなくUIのインベーションなのである。