木曜日, 2月 25, 2016

落ち着くところに

さすがに諦めムードですっかり戦意消失だった産業革新機構は完敗となったシャープの再建案。革新機構の方は再建というよりは解体してJDIの戦力増強というのが見え見えだったので鴻海に買い取られたのは悪いことではないと思う。日本の技術流出につながると産業革新機構はお題目を並べていたが、そんなものはシャープの佐々木さんがSamsungに技術供与を許した時に終わっている話。

開発途中の技術全てが渡っているわけじゃないにしろ大勢に影響を与えるよな大きなものが残っているみたいな言い方は感情論に過ぎなかったのはお見通しだ。今後国内の工場がどうなるかは定かではないがFoxxconnも組立工場を使ってコスト競争力のある家電を作ることも可能になるだろうし、繰り返される賃金アップで賃金の実質的な格差が無くなっている中。安い工賃の割に能力の高い日本の工員を得られることは鴻海に取ってもプラスになるだろう。

これでシャープはApple向けの液晶やOLEDの製造に今まで以上に真剣になり製造能力が上がる可能性さえある。自社製品だけではなくEMSとしてのラインの活用なども韓国や中国の企業に技術移転される恐れはかえって少なくなると思えるのだ。

結論:相手を見くびって大事な技術を易々と盗ませるに任せた日本の経営陣と違い世界で勝負している鴻海なら海千山千の魑魅魍魎とも互角にやり合えるしぶとさを持っているのである。

火曜日, 2月 23, 2016

東芝の撤退が意味するもの

粉飾決済発覚でいきなり破綻の淵に立つことになってしまった東芝。事業売却の話題しか出ていない時に正式に発売をアナウンスしたことに驚いたのが「Wearvue」。2年も前からCESなどに展示して鋭意開発中をアピールしていたが正式の発売開始の発表時にも2年前と大きな違いがなく「本当に出すの?」と。正直、東芝の置かれている状況から手を引くだろうなと考えていただけに勇気があるなと変な関心をしていたのである。

まあ、自分たちが出すわけではないので余計なお世話だよなと思っていたところ2/29の出荷日目前にしての開発・発売中止の発表。こんなギリギリでの発表で問題が起こらないとすると当てにしていたB2Bでの案件が一つも決まらなかったんだろうなというのが正直な感想。多くのスマートグラスが人の目に触れてはいるが国内メーカーで実際に製品発売までこぎつけているのは現状ではスクリーンが付いているものはエプソンのMOVERIOくらいしかないのである。

昨日から始まったMWC2016では、昨年の展示から予想した通りスマートウォッチの話はほぼなくなり、ヘッドアップ・ディスプレイタイプのVRグラスばかり。国内メーカーでそこにターゲットを絞って製品の展示をしているのはおそらくSONYだけ。他のメーカーは半周どころか1周半くらい世界から遅れている状況なのである。きっと来年は国内メーカーも各社VR製品を並べることになるのだろうが、それでは「Wearvue」の二の舞なのである。

結論:今の日本メーカーには後出しで勝てる実力はない。Appleから製品が出るのではないかと噂が出たら後追いをするのではなく撤退を決める。そんな判断が必要な時代になったのである。

iPhone 5cの失敗から学んだApple

他社の製品であれば間違いなくヒットしたうちに入るのだろうけど他のiPhoneの売り上げと比較したら全くパッとしなかったiPhone 5c。一番の過ちはiPhone 5sと同時発表だったので筐体とTouch IDだけで価格に大きな差をつけることが不可能だったのでメインのCPUを型落ちのA6としてしまったこと。さらに価格差が大きければまだ売れたはずなのにわずか100ドルの差だったため5sのお得感を増すだけの製品になってしまったのだから爆発的に売れることなどなかったのである。

そんなAppleが3/15に発表、18日に発売開始とされるiPhone 5seはリリースから半年のiPhone 6s/6s Plusと同じA9を搭載と噂されている。サイズは小さいモノを待っている人にジャストな4インチ。今回はTouch IDもNFCも搭載のためApple PayにもApple Watchにも対応となる。ストレージはもしかしたら128Gを用意しない可能性もないわけではないがローエンドのiPhoneという位置付けではなくコンパクトサイズとするのであればストレージを抑えたiPhone 6の上位に置くことも不可能ではないだろう。

噂では価格は500ドル以下となっているが、iPhone 6sより100ドル安いだけでも十分魅力のある製品になってくる。こればかりは蓋を開けてみなければ分からないが十分に売れる製品になるはずである。

結論:iPhone 6sと同時に発売開始をしていればiPhone 5cの二の舞になっていたが、未だに1/3がiPhone 5s以前を使っていて小さい端末へのニーズがある中でのiPhone 5seの発売開始。AppleはiPhone 5cの戦略ミスから多くを学んだようである。

土曜日, 2月 20, 2016

陰りの見えたApple

いくらもらって記事を書いているのだろうと言いたくなる位にAppleやiPhoneも落日だとPV稼ぎでAppleをDisる見出しは相変わらず多い。確かに実数で2015年Q4(Appleでは2016年Q1だがw)は、2014年Q4の7,500万台から400万台も少ない7,100万台という結果になったようだ。利益の部分を意図的に外しているので一般の人はさぞかし利益も少なくなったのだろうと勘違いするだろうがiPhone以外も含めたAppleの四半期売上、利益とも過去最高を記録。片やSamsungはギリギリ赤字にならずに済んだような喜べない状況に。

あんな高いもの売れるわけがないと言われたApple Watchも直近の四半期に510万台売れたとのこと(Appleの公式発表ではない)。リストバンド型のウエアラブルの2/3以上はApple Watch。売上や利益で考えれば他のデバイスと同じようにAppleが独占状態と言えるだろう。

元々、Appleは時代遅れのシェア至上主義などsteveがAppleに復帰した時から存在しない。それを求めた経営者がAppleを倒産寸前に追い込んだことを古くからのユーザーはよく知っている。同じような部品を集めて同じOSで動くものを作っているメーカーはシェアを取る以外に利益を出す方法がないのだろうが、それで儲けを独り占めするのはOSの提供者なのはPCの時に懲りているはずなのに。

結論:数の成長はいずれは頭打ちになる(ならないと思っている人はネズミ講でもやってみたらどうだろう)が、頭数が増えなくても利益はいくらでも増やすことは可能だ。シェア市場主義の人から見たらそろそろ成長のピーク。陰りの見えたAppleなのである。そして、Disらないとページビューを稼げない記者の人たちはとっくの昔に陰っているのだ。