水曜日, 10月 04, 2006

サプライチェーンの鑑

 サプライチェーンと言えば誰しもDellを考えるかもしれない。何しろファブレスで在庫を持たないことによって利益を上げていると言うのが自慢(それしか取り柄がないだけだが)の企業だからだ。しかし、一人勝ちであったPC業界ではCompaqを吸収したHPが価格面でDellと同様の戦略をとることが可能(他のメーカーも同様だ)になり、結局は単なる消耗戦に入らざるおえなくなり、売上は伸びても利益が伸びるようなうまい話は消えてなくなったのである。

 そんな業界の中で一人Appleだけは確実に利益を上げながら成長を続けている。新製品が出るたびに価格帯を下げているAppleは、MacでもiPodでも粗利を他社では想像出来ないくらいに高く維持している。僅か数百ドルのiPodでさえその粗利は40%を下らない。そればかりか強力なライバルがいないため、新製品が登場するその日までその価格を維持することが出来るのだ。

 そのiPodに対抗するMicrosoftのZuneの発売日と価格が発表された。XboxやPS3程ではないが、明らかに販売価格よりも製造価格の方が高い商品になっている。体力のあるMicrosoftならば出来ることだが、同じフォーマットを再生出来るサードパーティーは、これで命運が尽きたと言える。

結論:生産も販売も自社の都合で行えるAppleはサプライチェーンの理想形を作ったと言える。これがいつまで続くかは解らないが、シェアを伸ばすことよりも確実な利益を上げることに的を絞っているAppleは21世紀型の企業の見本だと言える。

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