月曜日, 4月 11, 2005

Macintosh伝説〜第五章〜

1989年−あの日に帰りたい


Jobsの逆襲
 業績不振の責任をとらされてAppleを追われたJobsが、業界に再び名乗りを上げた。Next ComputerのNext Cubeの発表である。AppleのMacintosh IIXよりも、高速なCPUを載せたそのマシーンはデザインでもMacintoshを超えていた。ブラック・マグネシウムのその筐体とディスプレイは1本のケーブルで接続されケーブルさえミニマムを目指すJobsの思想を体現する物であった。PowerbookやG5も美しいマシーンであるが、恐らくNext Cubeのデザインを超えるマシーンは今後も出てこないのではないだろうか。それくらいほれぼれするマシーンであった。Apple以外のPCでそんな気持ちになるマシーンはNext Cubeだけなのである。それなのに、悲しいかなどういう訳かちっとも売れなかった。理由はいくつか考えられる。値段が高かった。高いたって、Sunのマシーンが5台しか替えないのに...。時代は既にカラーだったのに、最初のマシーンはグレースケールモデルだった。PCのソフトもMacのソフトも動かない。開発環境であるObjective-Cは、先を行き過ぎていた。たったこれだけの理由で底なし沼にはまってしまうなんて、世の中の人達は、当時も今も見る目が無かったのである。まあ、本当の所はJobsに世の中(下々の人)に合わせる力量がなかったのが一番の敗因だったのは間違いない。

Macintosh Portable発売
 Macintosh初のPortableがついに登場する。1回の充電で12時間駆動、Plusよりも、高速なCPUを載せたアクティブマトリックス液晶ディスプレイのマシーン。これで、ノートブックであったならば今ごろ世の中にPCなんて無かったかもしれない。このマシーンの難点はめちゃくちゃ値段が高かったこととめちゃくちゃ重かったことである。電源の無い所で使えると言うのは素晴らしい事だったが、ブラウン管を使っているデスクトップ一体型のMacintoshよりも重かったのは信じられないことであった。別名”ニー・クラッシャー”。ひざの上で使ったら、ひざが壊れると噂されたとてつもないマシーンだったのである。

Macintosh SE30発売
 恐らく今でも一番愛されているMacintoshはSE30だろう。オリジナルのMacintoshと同じ大きさの一体型のボディにMacintosh IIXと同じCPUを載せ、拡張スロットにビデオカードを装着することによってカラー環境も手に入れることが出来たのである。同じ年にはIIxの拡張スロットを減らしたIIcxやIIciも発売された。大きさが小さくなった分価格もIIxよりも格段にお手ごろになり、どれもがヒット商品となった。しかし、それで味を占めてしまったのか、その後のAppleは、訳が解らないくらいにモデル数を増やし過去のマシーンよりもスペックを落としたマシーンを新製品(廉価版として)として発表するなどの暴走を開始する。結局、Sculleyの栄光の日々もこの暴走で終わりを告げるのである。

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