木曜日, 10月 27, 2005

Macintosh伝説〜第十二章

1996年−人は彼を首の太い親父と呼ぶ


Amelioは何をしにきたのか
かつてギル・アメリオという男がAppleのCEOを努めていた時代があった。あまりにも短い間だったので人々の口に上る事も少ないかもしれない。見るからにその男はAppleに相応しくなかった。ナショナル・セミコンダクターを建て直したと言う伝説があったが、彼がいなくなったあとに業績が急降下した。大幅なレイオフと在庫整理で利益をたたき出しはしたが、それは一回限りのまやかしだったのだ。

この当時のAppleは彼のようなビジョンを持たない人間を全く必要としていなかった。小使いでいいのならば、すぐに机の下に隠れて震えてしまうバカ珍のマイケル・スピンドラーの続投で事足りたのである。彼が、CEOになって一年の間に次期OSを社外から手に入れると言うプランが持ち上がってきた。このこと自体は間違っていないが、その候補としてWindows NT、Be OSと何の脈絡もなく上がってきたことがビジョンの無さを如実に示していた。要はこのおっさんは何も考えがなかったのである。

ところが、何も考えてなかったことが思わぬ所でスマッシュヒットを打ち出した。年末になってよりによってAppleの仇敵であるNeXTを次期OSのベースにすると言う考えられない事を実現してしまった。アメリオでなければ絶対にスティーブに声をかけるなんて事を思いつかなかったはず。怖い物知らずの小使いはまさに恐ろしい存在であった。そういえばこのおっさん97年の1月のMacEXPOの段階で、MacOS7はこれから10年間は通用すると言っていた。本当にバカである。

アメリオが引き連れてきた連中もAppleの文化とは水と油の連中であった。こいつらがあまりにも酷かったおかげでJobsの復帰に芽が出たとしたら、やはり神のおぼしめしはあるということである。

Windows NT
NTってニューテクノロジーの略らしい。本人達がそういっているのだからきっとそうなのだろう。でも、どこがニューテクノロジーなのと突っ込んでみたくなるのは、Macユーザーの悲しい佐賀...性(決して佐賀が悲しい訳ではない。佐賀はちょっぴり寂しいだけである)。何が悲しくてNTベースのMacを使わなければいけないの。そんなことしたら、数少ないMacユーザーが消えちゃうよ。これは、Macユーザーの正直な反応だった。冗談でもそんな戯けたことをほざいて欲しくない。95年の恨みが一年やそこいらで消えるとでも思っているのか。Windows95は、PCユーザーから見れば進化かもしれないが、Macユーザーから見たら退化以外の何者でもなかった。その当時のNTなんてGUIはWindows3.1と同等。そんなもの買う奴がいたらつれて来やがれ。たとえシステムが本当に落ちなかったとしたって意識が落ちちゃ仕方ないだろうが。

スマッシュヒット
正確に言えば、打ったのではなくボールがバットに当たってきたのである。それでも取りあえずは塁にでることが出来たのは確かである。それも、3塁に。但し3塁に出たと思ったらベンチに下げられて、帰りのバス賃を渡されたのである。実力が無かったのだからこればかりは仕方のないことだったのだ。

スティーブに声をかける
彼に声をかけて恩恵を受けた人が果たしているのだろうか。前年のトイ・ストーリーのヒットで一躍、時の人として脚光を再び浴びていたが、それはPixarの話であってNeXTは風前のともしびであることにかわりはなかった。何人の人達が煮え湯を飲まされ、そして廃人になっていった事か...アメリオは、この業界のことを何も知らなかった。そうに違いない。Jobsをただの気の良い中年とでも思っていたのだろうか。30代になるまでに3つも企業を作った男に、ただの再建屋がかなうはずもない。考えなくたって解ることである。つまり、Appleが、NeXTを買ったのではなくNeXTにAppleが乗っ取られた(それも金を払って)というのが真実なのである。ただし、これがApple再生のたった一つの方法だったことは間違いない。

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