水曜日, 3月 30, 2005

Appleの失敗

 iPod景気に沸くAppleであるが、かつてはいつ死んでも仕方ない状態を続けていた。丁度10年ほど前Appleは正に瀕死の状態であり、CEOの交代は延命処理に過ぎなかった。何度も書いてきたことなのでちょっとくどくなるかも知れないが、そのあたりをもう一度考えてみたい。

 そもそものきっかけは20年前のMacintoshの発表にさかのぼる。社内の小さなプロジェクトに過ぎなかったMacintoshが、日の目を見たのはJobsがLisaグループのリーダーの地位を外されたことだった。GUIを持ち、マルチタスクが可能なLisaは非常にエレガントなマシーンであったが、高価格だったために普及することはなかった。その失敗の原因はJobsにあると判断した取締役会はJobsをLisaチームから切り離す決定を下した。ここで、重要な点は当時のAppleにおいて主力商品であったApple IIのアーキテクチャーを完全に否定したマシーンをJobsが作ったことだったのである。Jobsは常に前進することを求め自社の商品を平気で否定出来るビジョンを持っていたのだ。Lisaチームを外されたJobsは、今度は打倒Lisaを旗印にMacintoshグループを新マシーン開発のために組み直してしまう。Lisaよりもコンパクトで使い易く価格も安いマシーンを目指したのだ。1,500ドル位で売れるマシーンが目標であったが、スカーリーが販促に1億ドルも掛けることが分かり結局非常に高価なマシーンになってしまった。案の定すぐに売れ出すことはなかった。ここで取締役会は、Jobsから商品開発の権限を奪うと言う措置に出た。その結果JobsはAppleを去り、Appleが新しい商品を作り出す機会を失ってしまったのである。恐らく、JobsがAppleに留まっていればNeXTはAppleからデビューしていただろう。そう考えるとWindows95が発表された当時には、現在のMac OSXと同等の先進のOSを持ったマシーンを発表出来ていたのだ。取締役会の判断ミスのためにAppleは10年近く遠回りをしてしまったのである。

結論:破壊者を社内に飼うことが出来なかったことが、Appleの失敗の根本的な原因だったのである。これ、どこかの日本の家電メーカーにも当てはまるような気がするんだけどな。

0 件のコメント: