水曜日, 3月 09, 2005

Jobsの現実歪曲フィールド

 Steve Jobs の現実歪曲フィールドに関する話がWebに載っていたので今日はその当たりのいくつかを紹介したいと思う。

 1997年、暫定CEOだったJobsがMicrosoftのビルゲイツとの提携の交渉にあたっていた。結果的に1億5000万ドルの議決権を持たない株の購入とOfficeアプリケーションの開発継続を取り付けることが出来たのであるが、その時のJobsの口説き文句が「二人が手を結べばPCの100パーセントを手に入れられる」だった。確かに事実はそうなのであるが、まるで自分たちが95%のシェアを持っているようにさえ聞こえる。これが、Jobs流の現実歪曲なのである。結局、Jobsに見詰められたゲイツはJobsの現実を受け入れたのである。

 1980年、ビジネスとしてAppleが成功するには優秀な経営者を必要としていた。Jobsは、当時ペプシコーラのCEOだったジョン・スカーリーを「砂糖水を売って一生を終わるのか」と口説いた。確かにコーラは砂糖水の一種かも知れないが、当時アメリカではペプシがコカコーラをシェアで破り、その立役者がスカーリーだったのだ。片やAppleはまだ株式を公開してもいないへぼな会社。他の人であったらば絶対ほざけない類いの言葉であったのだ。結局、Jobsに見詰められたスカーリーはJobsの現実を受け入れたのである。

 1985年、海のものとも山のものとも知れないNeXTコンピュータに続々と資金が集まった。確かにAppleの中でもとびきり優秀な連中を集めていたので何かを起こす可能性はあったが、まだ何も商品を開発していない会社(1988年にマシーンが発表されたが、まともに動くようになるまでそれから何年も掛かったのである)の月産10万台の生産が可能な製造工場を見せて(製造中止までに総数10万台を販売さえしていない)、ロス・ペローから総額1億ドル、キヤノンから2億ドルの金を巻き上げたのである。Jobsにかかればフル稼働している姿が目の前に現れてしまうのだ。結局、Jobsに見詰められたロス・ペローはJobsの現実を受け入れたのである。

 1997年、いつ潰れてもおかしくない(あることさえ忘れられていた)NeXTが4億ドルでAppleに買収された。新しいOSを必要としていたAppleは、交渉相手としてMicrosoftやBeなどが上がっていたがJobsにあったアメリオは迷うことなくNeXTをパートナーに選んだのである。結果的にはこれが正解であったことは確かであるがその時には誰もそう思わなかったのだ。恐らくAppleのハードとNeXTのOSが揃えば向かうところ敵無しだと囁かれたのだろう。結局、Jobsに見詰められたアメリオはJobsの現実を受け入れたのである。

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