水曜日, 1月 26, 2005

JobsとGates

 ここに、二人の興味深い人物がいる。その行動パターンは有る意味正反対かもしれない。 Steve P. Jobs、その我の強さと人を惹きつける魅力で信者(Macユーザ)を増やして行く姿は宗教家か政治家の様である。一言で言えばカリスマである。その言葉はまるで御神託のように人々に受け取られる。William H.Gates、天性の事業家のセンスを持ち他社を牽制するためにはどんな手段でも使う冷徹な計算を行う。それはモルガンロスチャイルドのアメリカでの代理人)やロックフェラーに通じる。その人格によって人を惹きつけるようなタイプではない。金に物を言わせるタイプだ。

 もちろん、二人に共通している点もある。1955年生まれで、二人とも大した技術者ではないことである。Appleで作り出されたApple IIも、MacintoshもJobsの開発したマシーンではない。もちろん、Macintoshの設計思想はJobsのビジョンその物であるためJobsが作ったとは言えるかも知れないが、恐らくコードを1行も書いてはいないだろう。Microsoftで作り出されたMS BasicMS DOSWindowsの中で本当にGatesの手によるものはアルティア用のMS Basicだけである。と言ってもBasicという言語を開発したのがGatesだったわけではなく移植を行っただけである。MS DOSは、ご存知のように他社が開発したものを買い取った商品で、それをIBMに持ち込んでOSとしてバンドルされたものが始まりである。Windowsに至ってはOS2の共同開発というポジションを利用して得た資源を元にして開発されたOS2のパチモノだったのである。IEを引き合いに出すまでもなくロクなもんじゃないのだ。

 Jobsのビジネスの根幹をなすものはビジョンの実現であり、Gatesのやっていることは究極のライセンス・ビジネスである。ビジネスマンとしては当然Gatesの方が格上である(他人の褌で横綱になれたのだから)が、経営者としてみた場合には、Jobsとの比較の対象にもならない。Gatesの発言が世の中を変えるような変化を起こすことはないが、Jobsの発言は新しい流れを作り出している。しかし、これと儲かると言うことは別なのだ。Gatesの一番優れた点はどんなものでも、自己システム化してしまうことである(それが原因でいつまでたってもシステムのバグが無くならない)。Jobsの一番優れた点はどんなものでも皆が欲しがるものに変えてしまう(詐欺、現実の歪曲ともいう)ことだ。

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